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3D使い新型車両プレゼン、対コロナ製品も注目 鉄道技術展

 24日に千葉市美浜区の幕張メッセで開幕した「第7回鉄道技術展 2021」(主催・産経新聞社)の会場は、多くの鉄道関係者や関連するサービス、工事関係者らでにぎわった。

 開幕直後に始まった基調講演には江口秀二・国土交通省大臣官房技術審議官が登壇し「防犯も含め、新たな課題解決に向け新たな技術開発が求められている」との考えを示した。また、江口氏に続いて登壇した小縣方樹・JR東日本顧問は「先進的なデジタル技術、通信技術の活用で利用者の利便をさらに高めていく必要がある」との考えを強調した。

 展示会場では車両メーカーの総合車両製作所が3次元(3D)映像のプレゼンテーションで新型車両「New sustina basic」を紹介している。ブースには外板パネルの実物も展示。同社の中川洋・国内営業部課長は、今回の出展で「価格面などを抑えたベーシックモデルながらデザインや品質にはこだわった。投資を抑えたい鉄道会社に対し、『アフターコロナ』の新しい鉄道車両のあり方を提案したい」という。

 鉄道関連の研究機関である鉄道総合技術研究所は、3D画像を活用した構造物目視検査支援システムや線路周辺画像解析エンジンを用いた巡視支援システムなどを出展。拡張現実(AR)技術を用いて、ブース内に鉄道構造物や軌道を再現している。同研究所の片岡宏夫・事業推進部部長によると「検査員が通常の目視検査、点検を実施した際に撮影した動画をもとに3D画像を作成、使用できる。情報を持つ効果を体感できる」と説明する。

 鉄道信号メーカーの日本信号は、線路や駅などに設置された機器類をネットワーク接続して一括管理するシステムとともに、高所作業用ロボットの試作機を出展している。同社のスマートシティ事業部ロボティックス営業部の谷口昌行部長は「架線などの高所作業は時間や手間がかかる上に危険も伴う。労働人口の減少もありこうしたロボットの実用化を目指していく」という。

 他にも会場では、抗ウイルス・抗菌ガラスコーティング剤、台車やシートの洗浄装置といった新型コロナウイルス対策のための製品とともに、労働人口の減少を視野に点検や保守を効率化する機器やサービスなど、鉄道関連産業のいまを映し出す出展が目を引く。

 25日は東大生産技術研究所次世代モビリティ研究センターの須田義大教授が「今後のモビリティー社会の展望」をテーマに講演。JR東海執行役員総合技術本部副本部長技術開発部長の岡嶋達也氏が「鉄道事業者の次世代へ向けた取り組みについて」、JR西日本理事鉄道本部副本部長・鉄道本部イノベーション本部長の久保田修司氏が「オープンイノベーションで支える技術ビジョン」と題する特別講演にもそれぞれ登壇する。いずれも席に余裕がある場合、先着で参加を受け付ける。

鉄道技術展の開催概要

 ▽開催期間:26日(金)まで。時間は午前10時~午後5時。

 ▽場所:幕張メッセ(千葉市美浜区)

 ▽主催:産経新聞社

 ▽後援:国土交通省、経済産業省、文部科学省、千葉県、千葉市など