話題・その他

9割リモート希望も…宣言解除で「強制出社」 普及阻むシステム導入の落とし穴

SankeiBiz編集部

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、30日で1カ月となる。長引くコロナ禍で働き方は多様化したかに思われたが、宣言解除で通常勤務に戻った企業も少なくなく、「満員電車」や「強制出社」といった文言がツイッターでトレンド入り。9割を超えるビジネスパーソンがリモートワークを望んでいるものの、働き方改革がなかなか進まない現状にネット上では落胆の声も漏れる。リモートワークでも滞りなく業務を進められる環境をいかに構築すればよいのか。

システム導入に失敗する4パターン

 リモートワークに特化した人材エージェント会社「LASSIC」の調査では、コロナ明けもテレワークを続けたいと思っているビジネスパーソンが9割を超えている。だが、リモートワークでも問題なく業務を進められる環境の整備は一筋縄ではいかないようだ。

 商品やサービスの満足度調査を行う日本トレンドリサーチを運営する「NEXER」と、クラウドシステムの企画・開発を行う「キャム」が共同で実施した「社内へのシステム導入」に関する調査によると、業務の効率化やセキュリティ対策など、新たな社内システムを導入する際に企業が失敗するパターンは以下の4つに分けられるという。

1.「目的の不明確さ」による失敗

 多機能のシステムを導入したものの、本当に必要な機能がなかった。調査では「さまざまなことができるタイプのシステムを導入したが、本当に必要なものは少なく、多機能にしたせいで、必要なものの処理も煩雑になってしまった」(40代男性)、「想定していた機能がなかった」(40代男性)などの実体験が寄せられている。システム導入の目的を曖昧にしたまま進めてしまい、本当に必要な機能が備わっていない状況に後から気づくということもままあるようだ。

2.「既存システムとの互換性」による失敗

 すでに使用しているシステムとの互換性が悪く、導入できなかったというもの。「会社のシステムに対応しない機器を購入してしまった」(40代・男性)、「会社のフローにマッチしなかった」(50代男性)などの声もあり、元々会社で使用しているシステムとどう組み合わせ、併用することができるのか。検討段階で十分精査する必要がありそうだ。

3. 使用法の理解不足

 システムの使用方法が難しいがために実用化に至らなかったケースも。「社員全員が難しくて使えなかった」(60代男性)、「使い勝手が悪かった」(40代男性)などの意見が寄せられたという。ユーザーインターフェース(ユーザーとサービスの接点)や利用できる機能を事前に確認した上で、社員の習熟度や理解度を上げるためにマニュアルの整備、レクチャーをする機会を作ることが重要といえそうだ。

4. コストに関する失敗

 最も多かった回答が導入コストに関する失敗だった。「費用対効果が得られなかった」(60代男性)、「運用コストが予算オーバー」(60代男性)、「同業他社のシステムの方が割安で優れていた」(30代男性)などの声が上がった。

 4人に1人以上が失敗経験あり

 コロナ禍で一気に普及した働き方「テレワーク」は今年9月、都内の3分の2以上の企業で実施された。リモートで仕事を進める上で、社員間の意思疎通やスケジュール管理、打合せなどを行うためのツールが必要不可欠となっている。

 日本トレンドリサーチとキャムの調査では、品質向上や業務の効率化、セキュリティ対策などを目的としたシステム導入に関する権限を持つ男女268人にアンケートを実施。システム導入で失敗したことがあるかとの質問では、4人に1人以上の25.7%が「ある」と回答した。

 4つに大別される失敗のパターンはいずれも、事前に確認を徹底しておけば対策できたともいえる。遠隔地で日々の業務を問題なく進めるには、こうした社内システムの構築が必須となるが、導入する際は、従業員がシステムを使いこなせるよう入念に準備を進めることが肝要だろう。

SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
SankeiBiz編集部員が取材・執筆したコンテンツを提供。通勤途中や自宅で、少しまとまった時間に読めて、少し賢くなれる。そんなコンテンツを目指している。