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LINEで受信できる「熱中症警戒アラート」知ってる? 対象地域が全国に拡大

SankeiBiz編集部

 全国的に厳しい暑さが続く中、熱中症にかかる危険度が高まったことを知らせる環境省の「熱中症警戒アラート」の重要性が高まっている。しかし、試験運用を経て今年4月28日から全国でスタートし、認知度も高まっているものの、十分に活用されていないというのが現状だ。同省はスマートフォンアプリに着目し、注意喚起と予防対策に力を注いでいる。

 低迷する警戒アラートの普及率

 熱中症警戒アラートは、気温や湿度などから算出する「暑さ指数(WBGT)」が、重症者が出る恐れのある「33」を超える際に、前日の午後5時と当日の午前5時に発表される。環境省と気象庁は、報道機関や自治体の防災無線を通して対象地域にアラートを伝えて熱中症予防を促す。8月1日から11日にかけて毎日、複数の都道府県で発表されている。

 健康計測機器メーカー、タニタの調査によるとWBGTの認知度は昨年から微増の48.4%、熱中症警戒アラートの認知度は63.0%だった。用語は社会に浸透しつつあるが、実際に熱中症対策としてWBGTと熱中症警戒アラートを参考にする人は10%程度にとどまった。

 目下の課題は、より多くの人に熱中症警戒アラートを役立ててもらうことだと環境省の水・大気環境局の担当者は話す。

 「昨年、メッセージアプリのLINEに環境省の公式アカウントを開設した。メッセージを受信できるように『友だち登録』をして都道府県などを指定しておくと、対象の地域で熱中症警戒アラートが出たときにLINEを通して通知が届くようになるので活用してほしい」

 通知が送られるのは前日の午後6時と当日の午前7時。利用者の生活リズムを考慮して環境省の発表から1~2時間ずらしたという。

 同様の取り組みは昨年、1都8県で行った試験運用の際も行われたが、今年に入ってLINEの友だち登録数が徐々に増加。11日までに12万人を超えた。担当者は「熱中症警戒アラートの対象が全国まで広がったことも影響しているのでは」と手応えを語った。また、熱中症警戒アラートは「Yahoo!防災速報」(ヤフー)などの気象・防災関係のスマホアプリでも受信できる。

 晴雨兼用の傘を無料レンタル

 一方、環境省は熱中症予防において直接的な効果が期待できるキャンペーンにも乗り出している。傘のレンタルサービスを手掛けるネイチャーイノベーショングループと連携し、レンタルスポットがある1都9県で熱中症警戒アラートが発表された日は、同社のアプリ「アイカサ」の機能を使って晴雨兼用の傘(24時間あたり70円)を無料で借りられるようにした。

 「日傘を使うのは女性がほとんどで、男性や若い方の利用者は少ない。特に男性は手荷物を増やしたくないという理由で日傘の所持を避ける傾向があるようだ。年齢や性別に関係なく、日差しの強い日は日傘で熱中症を予防してほしい」(同省担当者)

 同省は、日傘で日差しを遮ることで汗の量が約17%減少し、体内の水分や血液が少なくなって体調を崩すリスクが低減されることが実験で確認されたとしている。無料キャンペーンは昨夏にも行われており、今夏は天気情報のアプリ「tenki.jp」(ALiNKインターネット、日本気象協会)のユーザーにも告知することで日傘の利用を呼びかけていく。傘の無料レンタルは10月27日まで。

SankeiBiz編集部 SankeiBiz編集部員
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