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東京電力、ALPSによる処理水で海洋生物の飼育試験実施へ

 東京電力は29日、福島第1原子力発電所のALPS(多核種除去設備)による処理水を海水で薄めた水で魚類など海洋生物の飼育試験を来年夏に開始すると発表した。処理水に含まれる放射性物質のトリチウムの影響などを調べる。計画では、原発敷地内に複数の水槽を用意し、今年秋に原発周辺の海水を用いてヒラメなどを飼育を開始。来夏には、海洋放出時と同レベルまで薄めた処理水で飼育を開始する予定。試験終了時期は未定で、一定程度の分析結果が出るまで継続するとしている。

 政府決定を受け、東電は令和5年春ごろに処理水の海洋放出を始める方針だが、地元漁業関係者などから風評影響への懸念が示されている。今回の試験実施は具体的な情報発信により、風評影響を抑える狙いがある。

 飼育生物に関しては、飼育のしやすさなどからヒラメなどが候補に挙がっているが、その他の海藻類なども含め、専門家の意見を踏まえて最終的に決める。

 また、取り組みの透明性を確保するため、飼育状況はウェブで随時公開するほか、飼育状況や分析結果なども定期的に発信する。