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アルツハイマー新薬、年610万円 エーザイ、患者負担軽減を検討 

 米企業と開発したアルツハイマー病新薬「アデュカヌマブ」が米国で承認されたエーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は9日、新薬に関するオンライン説明会で、「(患者の経済的な)負担軽減に対応する」と述べ、保険会社や金融機関などと連携していく考えを示した。非政府組織(NGO)などと組み、低所得者向けの安価な提供を可能にする「革新的モデルも検討していく」という。

 アデュカヌマブはエーザイと米バイオジェンが開発し、7日に米食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。バイオジェンの8日の発表によると、2週間後にも出荷が始まる予定。4週間に1回の点滴投与で、価格の目安は年5万6000ドル(約610万円)。

 内藤氏は価格について、「当事者や家族の価値、ベネフィット(利益)や、各種費用を勘案した」と説明。アルツハイマーは介護にあたる家族の就労機会が減ったり、患者が長期療養施設に入所したりすることによる負担が大きいとし、「これらを複合的に評価することで、価値の全体像が見えてくる」と指摘した。

 アデュカヌマブは日本でも承認申請中で、厚生労働省は年内にも承認の可否を判断する可能性があるとしている。内藤氏は日本を含むアジア地域での販売について「順次、タイムリーに検討していく」と述べた。一方、収益への影響については「(年間売上高が10億ドルを超える)『ブロックバスター』になるポテンシャルを有している」との見方を示した。