日本地震再保険 保険金の迅速・確実な支払い継続
□日本地震再保険社長・伊東正仁さん(61)
--2021年5月に設立55周年を迎える
「地震保険制度が発足した1966年に、民間損害保険会社が引き受けた個人加入の地震保険を100%再度引き受ける国内唯一の再保険専門会社として設立された。大きな地震が発生すると甚大な被害をもたらすため民間の保険としてはなじまないからで、政府と民間損保、当社の三者が一体となって保険金の迅速・確実な支払いを実現してきた」
--迅速な支払いの継続は欠かせない
「近年は大規模地震が相次ぎ、将来の地震発生に備えて積み立てている危険準備金が減少し、枯渇が危惧された。このため20年度から危険準備金残高を増やすための特例措置が実施され、地震再保険の安定的な仕組みができた。19年度の危険準備金残高は2228億円だが、5、6年かけて東日本大震災前の1兆円まで戻す」
--21年度から3カ年の第6次中期経営計画は
「当社の使命は地震再保険制度をサステナブル(持続可能)でレジリエンス(復元力)なものにすることであり、官民の中心的役割を担う。第6次中計では、有事は複合災害発生時の迅速な支払い体制の構築、平時は付帯率(火災保険契約者のうち地震保険に入る割合)向上と防災・減災支援に取り組む」
--投資分野は
「人財戦略とDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に注力する。ペーパーレス化に取り組むことで事務作業を減らし、その時間を使って社員は能力を高めプロ化を目指す。そのために防災士などの社外資格制度や地震に関する社内資格制度を設け、学びながらスキルアップする仕組みをつくる。DXでは積み上がった地震に関するデータを分析して防災・減災や付帯率の向上に生かす」
【プロフィル】伊東正仁
いとう・しょうじ 京大経済学部卒。1984年日本火災海上保険(現損害保険ジャパン)入社。2015年損害保険ジャパン日本興亜(同)取締役常務執行役員、18年取締役専務執行役員などを経て20年6月から現職。奈良県出身。