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巨大マグロ水槽にサンゴ礁 都が葛西臨海水族園の建て替え計画

 年間約150万人が訪れる水族館「葛西臨海水族園」(東京都江戸川区)の老朽化に伴う建て替えの計画を、都がまとめた。現在の建物の隣に新設し、新たな目玉展示として水量3000トンの巨大水槽でマグロを泳がせ、1~2階を貫く円柱状の水槽でサンゴを育てる。建設業者の選定などを行い、令和8年度中の開館を目指す。

 葛西臨海水族園は魚や貝など約1000種、約8万5000点を飼育し、レジャーだけでなく学校教育などにも活用されている。新たな施設は隣の空き地に建設し、延べ床面積を現在の1・2倍の2万2500平方メートルとする。

 海洋生物は現在と同規模で飼育・展示する一方、新たな取り組みも始める。マグロが泳ぐ巨大な水槽ではVR(仮想現実)技術を活用して海中にいるような感覚で周囲を見渡せる演出を取り入れる。サンゴの生態をさまざまな視点から観察するために、2階まで貫く形の円柱状の水槽も導入する。

 来館者の休憩や飲食スペースを現在よりも広く確保。建設費用として250億円前後を想定し、運営費用として現在と同規模の年間18億円の支出を見込む。

 葛西臨海水族園は平成元年10月に開園し、30年以上が経過している。水槽の海水を濾過(ろか)する装置やタンクなど設備の更新が必要になったため、都は平成29年度からリニューアルか建て替えか検討を始めた。

 リニューアルの場合、飼育する海洋生物を一時的に保管する施設が必要になるほか、“引っ越し”回数が増えて海洋生物にも負担になる。「貴重な魚類を多く飼育しており、失われる可能性もある」(都担当者)ため、建て替えの結論に至ったという。

 今後、策定した計画を基に事業者の選定を始める。令和4年度以降に実際の設計や工事に着手し、8年度中の開園を目指す。都担当者は「特に大勢の小中学生らの来館を目指しており、学習や未来への夢を抱いてもらえるような施設にしたい」と述べた。現在の建物は新たな施設のオープン後に利活用の方法などを検討する。