イオン今期目標、ネットスーパー50%増収へ 店舗食品販売の1割相当
流通大手イオンの吉田昭夫社長は9日までにフジサンケイビジネスアイの取材に応じ、総合スーパー(GMS)事業で展開するネットスーパーについて、今期(2021年2月期)の売上高を前期比50%増まで引き上げるとの目標を明らかにした。店舗での食品売上高の10%程度に相当する。新型コロナウイルスの感染拡大でネットスーパーの利便性認知が広まったことを機に、現行のサービス強化を進める構えだ。
グループのGMSで手掛ける「イオンネットスーパー」は、専用サイト経由で近隣店舗の在庫の中から商品を注文すると、自宅で受け取れる仕組み。商品は食品が多く、売上高は非公開ながらもこの数年は2割増を続けているという。
吉田氏は新型コロナの感染拡大に伴う自粛で、「オンライン購買への客のニーズが加速した。今後システムを改善し、年間の店舗の食品売り上げの10%程度までいければ(ネットスーパーとして)かなりのシェアを取ることになる」と話す。昨年、英ネットスーパー企業と提携を発表。23年中に専用倉庫から発送する次世代型ネットスーパーを始める方針だが、先んじて起きた購買変容に対応する。
新型コロナ禍ではネットスーパーへの発注が殺到し、ピーク時には前年同期比6割増を達成。ただ、店舗の配送枠が埋まると受注できず、機会損失が起きていた。4月には店舗の梱包(こんぽう)人員を強化するなど取り組みを進めている。
吉田氏は、施設内での感染防止に向け、運営や接客などを一律化するため、イオングループ共通の手引書を今月中に取りまとめることも明らかにした。吉田氏は「今のウィズコロナを乗り切らないとアフターコロナは来ない。人が集まる買い物の場を提供する小売業にとって、防疫と事業を並走する今は重要局面」と位置付けた。