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「企業がアカデミアの無知を悪用」本庶氏、小野薬品への不満あらわ
がん免疫治療薬「オプジーボ」の収入配分をめぐるノーベル賞受賞者と製薬企業の対立は、法廷に持ち込まれる見通しとなった。小野薬品工業(大阪市)に約226億円などの支払いを求め、提訴する方針を5日に表明した本庶佑(ほんじょたすく)京都大特別教授(78)。「日本では企業がアカデミアの無知を悪用している」。京大で開いた記者会見で改めて小野薬を批判するとともに、産学連携への持論も語った。
「彼らの言うことが国際的な常識と思ってきたが、実際はそうでなかった」
会見で本庶氏は、小野薬への不信感を繰り返しあらわにした。平成18年に特許に関する契約を小野薬と締結。その後契約内容をめぐり、当時の弁護士から「極めて詐欺的」と聞かされ、問題意識を持つようになったという。
今回、本庶氏は米製薬大手メルクが絡む特許侵害訴訟での対価の配分割合について訴訟を起こす方針だ。
本庶氏は、小野薬は当初、同氏への対価は「得られた全体の10%」と提案したが、後に「0・25%」と何の説明もなく通知したと主張。「(小野薬は)言ったことを引っ込めたり、違うことを言ったりしている」と指摘した。
その上で「私の命もいつまで持つか分からない。このまま待ってもメリットもない」と述べ、訴訟を決意した経緯を明かした。
また「日本では企業がアカデミアの無知を悪用し、一方的な契約を結ばせることが頻発している」とも言及。勝訴すれば、得られた分配金を後に続く研究者のために充てたいとの考えを示し、「私が先例となり、若い研究者の評価に役立てたい」と訴えた。