訪日客に日本語で応答 自動翻訳電話、手頃な価格で登場

 

 外国人からの電話にも安心して日本語で対応したい-。こんな要望に応える自動翻訳電話サービスが登場した。インターネットサービス企画・運営の東風津梁(とんぷうしんりょう)(東京都渋谷区)が提供を始めた「PANインバウンド」で、訪日外国人の誘致が課題となっている業界における活用が期待されている。

 「何分のコースをご希望ですか(How long would you like the course to last?)」「45分です(45minutes)」

 リラクセーションサロン「デオグラシアス銀座」を運営するグラシアス(東京都町田市)社長兼セラピストの小川澄江さんは、フィリピン人観光客のソフィアさんからのマッサージ予約の電話を、日本語で受け答えした。ソフィアさんは英語を話しただけだ。

 両者をつないだのがPAN。情報通信研究機構(NICT)が開発した翻訳エンジンを採用し、95%近い翻訳精度を持つ。

 小川さんは「英語を話せるスタッフはおらず、お客を逃していた。導入したことで予約が受けられようになった」と喜ぶ。通話終了後には、会話内容を文字にしてメールで送られてくるので便利だとも言う。通訳にかかる時間も1~2秒だ。

 料金は固定電話向けで月8980円。従来の3者間通話サービスの3分の1以下という。初期費用はかからず使い放題。即日導入可能だ。現在、英語、中国語、韓国語に対応しているが、来年の東京五輪までに10カ国語に増やす予定。津島越朗社長は「『ウマい(高い翻訳性能)』『安い』『早い』の3拍子そろったサービス。訪日外国人誘致でビジネス活性化の一助になれる」と話している。