台風15号、供給網を寸断 工場・店舗…操業停止や一時休業相次ぐ
8日から9日にかけ関東地方を直撃した台風15号は、電子部品や自動車の工場、商品物流などにも被害を与え、サプライチェーン(供給網)に影響が及んだ。鉄道各社の「計画運休」に伴い、百貨店などでは開店時間を繰り下げる動きも相次いだ。
ソニーは、家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」などを生産している子会社のソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズの工場「木更津サイト」(千葉県木更津市)が、停電で9日朝から終日稼働できなくなった。操業停止に伴い従業員は自宅待機とした。
日本製鉄は、君津製鉄所(千葉県君津市)の製鋼工場でガス処理設備の高さ約70メートルの煙突が崩壊した。現在点検中で、復旧の見込みは立っていない。
JFEスチールは、東日本製鉄所の千葉地区(千葉市)と京浜地区(川崎市)でそれぞれ一部設備の操業を停止。日産自動車は追浜(おっぱま)工場(神奈川県横須賀市)、横浜工場(横浜市)、本牧専用埠頭(同)の3拠点で一部冠水があり、操業を停止した。
コンビニエンスストアでは、道路混雑で商品物流が影響を受けたほか、浸水被害や停電で一時休業した店舗が出た。セブン-イレブン・ジャパンによると、千葉県内の十数店舗で浸水被害があり休業を余儀なくされた。ローソンも4都県の94店舗が一時休業。ファミリーマートでは、東京都と千葉県の計2店舗が浸水被害で休業したほか、5都県の約150店舗が停電の影響を受けた。神奈川県内の物流センターも停電し、物流に影響が出たという。
一方、三越伊勢丹ホールディングスは、「計画運休」による従業員の出勤遅れを考慮し、三越銀座店の開店時間を午前10時から11時半に繰り下げた。オリエンタルランドが運営する東京ディズニーシーでは、午前8時の開園時間を1時間遅らせた。
日本郵便は、千葉県内58局をはじめ5都県の最大95局の窓口業務を休止。高速道路の通行止めや航空便の欠航などで東北、関東、甲信越地方、静岡県の郵便物の一部に遅れが発生した。
携帯電話大手3社は、停電の影響で、東京、千葉、神奈川などでつながりにくい状況になったと発表。NTT東日本は、千葉県内全域で約7000台の公衆電話を無料化した。
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