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日産、西川氏の社内処分検討へ 報酬数千万円上乗せか 強まる責任論
日産自動車の西川(さいかわ)広人社長が、株価に連動する役員報酬について、社内規定に違反して不当に数千万円を上乗せして受け取った疑いがあることがわかった。前会長、カルロス・ゴーン被告が報酬の問題で逮捕、起訴され、西川氏はそれを批判してきた経緯がある。日産は社内処分を検討するが、西川氏への責任論が強まりそうだ。
西川氏は5日朝、自身が社内規定に違反し数千万円の役員報酬を上乗せして受け取った疑いについて「本来の形とは違う運用があった」と述べ、不当な報酬があったことを認めた。また、不正に得た分の報酬を返還する意向を示した。
西川氏をめぐる不正の疑いは、6月発売の月刊誌「文芸春秋」が報道。ゴーン被告とともに金融商品取引法違反で逮捕、起訴されたグレゴリー・ケリー被告の証言として、西川氏が日産の株価に連動した報酬を受け取る権利の行使日を変更し、当初より4700万円多い利益を得たと報じていた。
不正の疑いがあるのは、株価連動型の報酬制度「ストック・アプリシエーション・ライト」(SAR)。西川氏は平成25年5月に報酬を受け取る権利を行使する日をいったん、確定させたが、日産の株価が上昇していたため行使日をずらし、当初より多くの報酬を得たとされる。
日産は4日に監査委員会を開き、社内調査結果に基づき、西川氏や他の役員経験者の不正の疑いを確認。近く開かれる取締役会で不正を報告する。不正が認定されれば西川氏の求心力が低下し、日産の経営にも影響が出そうだ。
日産は6月の定時株主総会で「指名委員会等設置会社」に移行。指名・報酬・監査の3委員会を設置し、社外取締役による経営の監視体制を強化した。