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放置竹林を燃料に 徳島工業短大と阿南工業高専が「竹粉エンジン」開発

 放置された竹林をどうにかできないか-。そんな思いから徳島県の徳島工業短大(板野町)と阿南工業高専(阿南市)のチームは、竹を細かく砕いた粉を燃料とする「竹粉エンジン」を開発した。今後、発電やバスに活用するなど実用化につなげたいという。

 チームリーダーは徳島工業短大の宮城勢治学長。竹を加工するベンチャー企業に携わり、放置竹林の有効利用を模索する中で、自身が30年以上研究しているエンジンに活用できないかと考えた。徳島工業短大の講師と阿南工業高専の教授とともに6年ほどで開発にこぎ着けた。

 竹の粉末(大きさ約0.1ミリ)をエンジンに供給して燃焼させ、動かす仕組み。竹粉を燃やす種火をおこすときにのみ燃料を使うため、化石燃料の使用を大幅に抑えられるという。回転数は、供給する竹粉の量を弁で加減して調整する。

 今後は竹粉の粒の大きさや含水率の最適化を図り、実用化を目指す。

 チームによると、竹の根は地中深くまで入り込まず、大雨の時に土砂災害のリスクがある。繁殖力が強く、放置すると周囲の森林に広がり、他の植物の成長を阻害するとされ、徳島県内では2007年に約2000ヘクタールだった竹林が18年3月までに約4000ヘクタールに拡大し、伐採など対策が急がれている。

 宮城さんは「実用化すれば全国で問題になっている放置竹林の解決策になる。町を循環する小型バスなどが運行できれば地域の振興にもなるのではないか」と期待をにじませる。