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バイク市場、定額制で活性狙う 中古をサブスク、気軽にお試し ヤマハ発が実験

 ヤマハ発動機は、毎月定額の料金を支払えば気軽に中古二輪車に乗れる「サブスクリプション(定額制)」サービスの実証実験を20日から始める。国内二輪車メーカーの先陣を切って、定額制を事業化する可能性を探る。所有にこだわらない消費者を開拓し、縮小傾向にある国内二輪車市場を活性化する狙い。

 今回のサービスは月額制で中古二輪車を貸し出す「月極(つきぎめ)ライダー」。来年5月まで約1年間提供し、ビジネスとして成立するかを検証する。

 中古車を購入する場合の総額の5%を毎月支払うことで二輪車に乗れる。利用期間は最短30日。それを過ぎれば自由に返却でき、最長6カ月まで乗り続けた後に買い取ることも可能だ。

 利用はインターネットで申し込み、埼玉県内で二輪車を販売する「はとや」(川口市)の店舗で受け取る。ヤマハ発以外の国産・輸入車からも選べる。排気量125cc以下の原付きバイクは居住地を問わないが、軽二輪(126~250cc)以上は同県在住者に限定する。

 例えば、車両代に登録手数料や税金などを加えた総額45万円のスポーツバイク(250ccの2016年式)の場合、月極ライダーなら毎月約2万2500円で乗れる。月額料金には任意保険料やメンテナンス費などが含まれるほか頭金も不要なため、まとまった出費を気にせずにバイク生活を楽しめる。

 こうした手軽さと“お試し期間”を提案することで、「自分に合う1台はどれか」と悩む消費者や、免許を持ちながら維持費の負担など経済的な要因から保有を断念している若年層などを発掘する。

 日本自動車工業会によると二輪車の国内販売台数は1982年に約327万台とピークに達し、その後は原付きバイクを中心に減少。昨年は前年比3.8%減の36万9114台にとどまった。このためヤマハ発は、二輪車を造って売るビジネスモデルに頼っていてはじり貧になるとの危機感を強め、「二輪車への壁をより低くし若者の利用を促す」(新ビジネス推進部)ことにした。

 「所有から利用」という消費者意識の変化は自動車業界にも波及、トヨタ自動車が東京都内の販売店で2月に定額制の新サービスを始めたほか、定額制より利用期間が短い二輪車のレンタルサービスも登場している。ヤマハ発の二輪車販売子会社は昨年10月にレンタル事業を開始。川崎重工業の販売子会社や米二輪車大手ハーレーダビッドソンの日本法人も1部販売店でレンタル需要を開拓する。