【トップは語る】フィンテック協会 キャッシュレス普及への課題、順次解決

 

 □フィンテック協会会長・丸山弘毅さん(42)

 --キャッシュレス決済のサービス競争が激化している

 「現金を使う不便さ、非効率性を考えるとキャッシュレスサービスが広がるのは良いことだ。乱立との批判もあるが、まず色んなサービスがでてきて色んな利用者にリーチしていくという意味では歓迎したい」

 --日本は“キャッシュレス後進国”といわれてきた。広がらない理由は

 「日本は現金も非常に便利で、海外に比べ不便さが明確に気付かれていない。ただSuica(スイカ)や高速道路のETCの普及で、使えば便利なのは明らかだろう。利用者の意識の問題以外にも、例えば店がキャッシュレス事業者に払う手数料が高い点や店への入金が遅れることもネックとなっている。そうした課題を一つ一つ解決し、ユーザーが使いたいと思うきっかけを作っていきたい」

 --社会的なメリットも大きい

 「適切な値決めをする上でも重要だ。例えば自販機でジュースを100円から値上げする際、適正価格が107円だったとしても現金で支払うことを考えれば区切りの良い110円に値上げする。すると適正価格よりも高く買うことになる。逆に100円のままだと事業者が無理をしていることになる。キャッシュレスなら107円という価格設定が可能だ。色んな事業者がそういうところでも苦労しているのではないか」

 --今後のビジョンは

 「支払い手段だけが買い物体験ではない。事前の下調べや、商品の予約、レシートの受け取りや、買い物履歴の確認、商品を使い切ったときの再購入まで1つのアプリでできればすごく便利になると思う。店では商品を受け取るだけ。レシートも自動的にアプリに送られるイメージだ」

【プロフィル】丸山弘毅

 まるやま・ひろき 慶応大商卒。ジェーシービーを経て、2006年にITと金融が融合したフィンテック企業「インフキュリオン」を創業。独自サービスを提供するほか、業界への新規参入支援なども行っている。15年にフィンテック協会を設立した。