スズキ、検査不正で200万台リコール 損失800億円
スズキは12日、燃費や排ガスのデータ改竄(かいざん)問題の報告書を国土交通省に提出した。新車製造の最終工程である「完成検査」を無資格者が行っていた問題を工場レベルで組織的に隠蔽(いんぺい)していたことも判明した。鈴木俊宏社長は同日、東京都内で開催した会見で、約200万台を対象にリコール(回収・無償修理)を実施すると表明。必要な費用約800億円を平成31年3月期決算に特別損失として計上する。ブランドイメージへの影響も懸念される。
鈴木氏は会見の冒頭、「大変な危機感をもって厳粛に受け止めている。信頼を裏切る結果となり、お詫び申し上げる」と話した。
リコールの対象は、同社が平成28年4月頃より後に製造して国内で販売され、まだ初回の車検を受けていない車両。具体的には、軽自動車「スペーシア」など約40車種で、相手先ブランドによる生産(OEM)供給の15車種も含む。詳細は今後公表する。
スズキは無資格検査の存在を否定していた。だが法律事務所に委託した調査により、静岡県の四輪車3工場で、検査補助者が単独で検査していたり、他人の検査印を使用していた不正が判明。3工場の課長級の管理職が連絡を取りながら、チェックシートを巧妙に書き換えるなどの隠蔽工作を行っていたという。
データ改竄や不適切な試験は、20年4月から30年9月にかけて行われたことが確認され、1万1070台が見つかった。全車を対象にしたブレーキ制動力検査などでも不正が判明。聞き取り調査では、不正が昭和56年にすでに行われていたという証言もあったという。
スズキは品質や安全の向上のため、今後5年間で1700億円規模の投資を行うなどの再発防止策も示した。鈴木氏は現経営陣の責任について、「役員報酬の減額を含め、厳正に対処する」と述べた。
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