塩野義、デジタル薬に参入 ADHDなどゲームアプリで治療
■発達障害の治療に
塩野義製薬は、発達障害をスマートフォンやタブレット端末のゲームなどを通じて治療する「デジタル薬」と呼ばれる治療アプリの販売に参入する。発達障害の一種である注意欠陥多動性障害(ADHD)向けなどを想定しており、アプリでは障害物を回避するなどの操作を通じて脳を活性化することで症状を改善する。医療機器として承認を得て、数年内に日本と台湾で販売する方針だ。
治療アプリは米国のベンチャー企業が開発したもので、塩野義はすでに日本などでの販売権を取得。患者の治療をサポートするアプリでは、大日本住友製薬がパーキンソン病の投薬管理ができるアプリを無料で提供したり、田辺三菱製薬が糖尿病患者に栄養・運動指導を行うアプリを開発したりしているが、塩野義のように国の承認を得て販売を目指すのは珍しい。
ADHDは大脳皮質の機能障害に原因があると考えられており、アプリでは、患者ごとに難易度を調整したゲームで脳に適度な刺激を与えることで、注意力の向上などが期待できるという。患者はスマホやタブレット端末の画面を指先でタップ操作しながら障害物を回避するとともに、特定の対象物が表示されれば素早くそれに触れるなどの課題をこなす。
対人関係の構築が苦手な自閉スペクトラム症向けのアプリも販売する。塩野義は「医薬品だけでなくデジタル技術による治療法を提供することで、治療の選択肢を増やしたい」としている。
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