女性起業家、SNS活用で成功へ 関西で支援の輪広がる

 
奈良県でのセミナーで講師を務めたささきゆきさん(左から2人目)と受講した女性ら=2月25日、奈良市内(黒川信雄撮影)

 女性が会員制交流サイト(SNS)を活用して起業したり、ビジネスを成長させたりする取り組みへの支援が関西各地で広がっている。SNSは無料で情報発信することができ、資本力や事業経験でハンディがある主婦らでも導入が容易なためだ。活用が広がれば、関西の府県で女性の就業率が低い傾向の改善につながることも期待されている。(黒川信雄)

 県がセミナー主催

 「行き場を失った子猫を預かるボランティアをしていたが、活動を継続するには、ビジネスとして立ち上げる必要があると感じた」

 2月に奈良県内の2カ所で開かれた女性向けセミナー「起業に効果的なSNSの活用を学ぶ」に参加した主婦はこう語り、「情報発信のあり方を学べた」と手応えを口にした。

 セミナーは奈良県女性活躍推進課が主催し、計58人が参加。事業に適したSNSの種類や、効果的な運用方法を学んだ。

 内閣府の調査によると、奈良県の15~64歳の女性就業率は58・5%(平成27年)で、全国で最も低い。大阪のベッドタウンが多いものの通勤時間が長いことや、“家事は女性の役目”という考えが根強いことが背景にあると指摘される。

 このため県は26年度から女性起業支援プロジェクト「Leapなら」を展開。今回のセミナーでSNSを取り上げたのは、「無料ですぐに利用できるからこそ上手な使い方を知るべき」(女性活躍推進課の宮崎葵主事)との考えからだ。

 活用なし「考えられない」

 同様の取り組みは関西各地で広がっている。兵庫県立男女共同参画センター・イーブンは3月上旬、フェイスブックの活用方法を学ぶ起業支援セミナーを2回開く。参加者の7割は女性という。昨年にも「インスタグラム」「ネットショップ開設」などをテーマに開催した。京都府や滋賀県でも女性起業家向けにSNSセミナーが開かれている。

 ICT総研(東京都千代田区)の調査では、国内のSNS利用者は約7500万人。滋賀県で女性の起業を支援する団体の関係者は「小規模事業主にこそ効果的。活用しないなんて考えられない」と言い切る。

 一方、女性の起業では周囲の理解の低さなどが壁になることもある。奈良県のセミナーで講師を務めたブランディングプロデューサー、ささきゆきさんは、「実際に起業した女性に積極的に関わり、経験を学んだり、悩みを共有してもらったりと工夫してほしい」とアドバイスしている。