牛久シャトー活用へ牛久市と所有会社が協定 茨城

 
日本初のワイン醸造場といわれる「牛久シャトー」

 茨城県牛久市は1日、日本初の本格的ワイン醸造場とされる「牛久シャトー」(同市中央)の利活用を進めるため、施設を所有するオエノンホールディングス(東京都中央区)と包括連携協定を結んだ。牛久シャトーをめぐっては、レストランやワインなどの物販店舗が昨年で撤退したため、市民らが事業継続を求めていた。

 「市民の声に応えたいという双方の思いから協定締結に至った」

 締結式で、同市の根本洋治市長は協定締結の経緯を明かした。昨年末の撤退後、市には「牛久シャトーが取り壊されてしまうのではないか」「牛久のシンボルがなくなってしまう」という声が寄せられていた。

 同社の西永裕司社長は記者団の質問に対し「(牛久シャトーの)建物や駐車場の売却は全く考えていない」と明言。飲食事業については「われわれではノウハウが足りなかった」と述べ、「牛久シャトーを不動産として活用し、プロの飲食業者を招き入れて再開させる可能性はある」との考えを示した。

 主な連携事項は、シャトーカミヤ旧醸造場施設の保存活用▽牛久シャトーの公開活用▽牛久市の観光やブランド振興-など。西永社長は「具体的な取り組みを素早く決めなければ締結の意味がない。今年中には方針を固めたい」と意欲を示している。

 牛久シャトーは実業家の神谷傳兵衛(でんべえ)が明治36(1903)年に開設し、平成20年には本館など建物3棟が国重要文化財の指定を受けた。

(永井大輔)