【Sakeから観光立国】海外の専門家ら招き日本酒文化をレクチャー

 
和田酒造を訪れた海外からの酒類専門家と招聘事業の関係者ら=山形県河北町

 国税庁が28日から31日までの4日間、海外の日本産酒類専門家を招聘(しょうへい)している。世界各国から参加を募り、7カ国から9人の酒類専門家が選ばれた。酒造りの最中にある酒蔵の視察をはじめ、多彩なプログラムが用意されている。参加者が、日本各地で吸収した日本産酒類の現場の知恵や、それを育んだ地域の文化を海外に広めてもらえるもとと期待している。(酒サムライコーディネーター・平出淑恵)

 今回はシンガポールと米国から2人ずつ、メキシコ、イタリア、ロシア、英国の各1人が参加。それぞれの出身国・地域で酒類に関する情報発信やビジネスで、強い影響力を持つ。

 参加者は酒蔵見学のほか、酒蔵の背景にある風土や文化のレクチャー、日本酒と料理とのペアリングの体験などを行う。訪問する地域では蔵元らとの交流会が予定されている。

 今回は、まず山形県の各地を訪問。同県は昨年、世界最大のワイン審査会であるインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のSAKE部門審査会を誘致し、同大会の県別成績でも5年連続1位という成果を上げている酒どころだ。

 酒蔵では、出羽桜酒造(天童市)と和田酒造(河北町)、そして小嶋総本店(米沢市)を訪問、SAKE部門審査会誘致のリーダーシップを発揮し、ロンドンの授賞式では、知事としては初めてプレゼンターを務め、山形の酒を世界に発信した吉村美栄子知事を表敬訪問する。

 続いて近年、大消費地の首都圏に近い地の利を生かし、日帰りの酒蔵ツーリズムで実績を上げている群馬県に移動。まず、永井酒造(川場村)と大利根酒造(沼田市)を見学し、ジェトロ群馬貿易情報センター(ジェトロ群馬)との連携による地元食材と地酒とのペアリングを体験。広島に移動し、賀茂泉酒造(東広島市)を見学、最終日には酒類に関して国が所管する唯一の公的研究機関である独立行政法人酒類総合研究所で、日本産酒類について講義を受ける。

 酒類専門家であり、各地域で活躍する多彩な経歴をもつ面々。帰国後の発信が楽しみだ。

【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年コーポ・サチを設立。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)、東北・夢の桜街道推進協議会アドバイザーを務める。