スバル大規模リコール 高収益体質の維持に黄信号 エンジン部品、対応は長期化も

 

 SUBARU(スバル)の大規模リコール(回収・無償修理)は、相次ぐ検査不正で傷ついたブランドイメージに追い打ちをかけそうだ。車の心臓部ともいえるエンジン部品の不具合だけに、対応は長期化が予想される。高収益体質を誇ってきた経営に、中長期的に打撃を与える懸念がある。

 スバルは1日、エンジン部品「バルブスプリング」に不具合の恐れがあるとして、国内外で計41万台の大規模なリコール(回収・無償修理)を実施すると発表した。国内分の約10万台に関しては同日、国土交通省に届け出た。 スバル関係者は「水平対向エンジンで、これだけ大規模なリコールの事例は過去に思い当たらない」と話す。同社を象徴するこのエンジンが安定感のある独特の乗り心地を生み出し、「スバリスト」といわれる熱心なファンを引きつけてきた。昨年10月以降に発覚した完成検査の不正とは問題は異なるが、再発防止策の実行を掲げて信頼回復に取り組んでいた矢先のリコールは最悪のタイミングだ。

 リコールでは、車からエンジンを取り外して分解し、部品を交換する。1台当たりの作業時間は2日程度で工賃もかさむ。検査不正による約42万台のリコールもまだ終わっていないだけに対応は長期化の様相だ。

 今回の問題で、スバルは2018年9月中間期(4~9月期)の連結業績を下方修正した。490億円引き下げられた営業利益は従来予想からほぼ半減。リコール費用は500億円を上回る可能性が高い。

 スバルの18年3月期の売上高営業利益率は11.1%と、上場する乗用車大手7社中最高。しかし、業績修正で9月中間期は4.1%に沈んだ。一過性の費用とはいえ、高収益体質の維持に黄信号がともる事態だ。

 「品質は自動車メーカーの根幹だ」。検査不正に関する9月の会見で、中村知美社長はこう述べた。不正やリコールに至った要因を見つめ直し、抜本的な取り組みを打ち出せるかが問われている。(高橋寛次)