発毛剤市場、後発組も“はえて”きた! 参入相次ぎ戦国時代に突入、大正製薬独占に待った
「リアップ」を擁する大正製薬ホールディングスの独占状態だった発毛剤で市場参入が相次ぎ、競争が激化しつつある。8月にリアップと同じ有効成分を配合した後発品で参入したアンファー(東京都千代田区)は、10月から取り扱い店舗を大幅に拡大した。ロート製薬が11月にも同様の商品を発売する方向で検討するなど他社も参入の機をうかがっており、一気に戦国時代へ突入しようとしている。
大正製薬は、1999年に一般用医薬品で初の発毛剤としてリアップを発売、一大ブームとなった。主力の「リアップX5プラスローション」をはじめ、商品には厚生労働省から発毛効果を認められた成分「ミノキシジル」を配合、長い間同社だけが発毛剤を市販してきた。
そんな状況に風穴を開けたのが、ヘアケア商品「スカルプD」で業容を拡大してきたアンファーだ。8月にミノキシジルを配合した「スカルプDメディカルミノキ5」を投入。初年度20億円の販売目標を掲げた。
これに対し、大正製薬の山口義人セルフメディケーション事業企画部長は「容器や量産化を含め、約20年の先行ノウハウがある」と自信をみせる。
ミノキシジル配合の発毛剤を商品化する際には、血管への影響を確かめる臨床試験を実施しないといけない。容器やパッケージでも厳しい審査をクリアする必要がある。大正製薬は、リアップ発売に14年かかったという。
アンファーは昨年10月にいったん発売したものの、直後に説明書の効果、効能を示す図に不備が見つかり販売を中止。再発売は約10カ月後にずれ込んだ。価格も60ミリリットル入りで7223円(税別)と、同じ量で他の成分も配合した「X5プラス」より175円高い。
それでも同社によると、ネット通販とドラッグストア「マツモトキヨシ」11店に販路が限られているにもかかわらず反響は大きく、発売後1カ月の販売は計画を5割も上回ったという。10月には、マツキヨでの扱いを薬剤師のいる全店(約1000店)に拡大。その後は他のドラッグストアでも売り出して来年度にはリアル店舗の扱いを5000店まで増やす方針で、「20~30代の比較的若い層を中心に取り込む」と意気込む。
ミノキシジル配合の発毛剤はロートや加美乃素本舗(神戸市)も投入を検討中で、相次ぐ参入は価格破壊につながる可能性もある。このため大正製薬の山口部長は「市場が活性化する」と参入を歓迎する一方で、「脅威なのは確か」と警戒もみせる。
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