「Vチューバー」商機が到来、ネット企業が相次ぎ参入

 
架空のキャラクターに扮してユーチューブに動画を投稿する「バーチャルユーチューバー(Vチューバー)」による決算発表を見守るグリーの田中良和社長(右)=東京都港区(高木克聡撮影)

 CG(コンピューターグラフィックス)などで生み出した架空のキャラクターを配信者として、動画配信サイト「ユーチューブ」などに動画を投稿するバーチャルユーチューバー(Vチューバー)事業への企業の参入が本格化している。インターネット動画の視聴者は若年層が中心であることから、各社はイベントビジネスのほか、広告や宣伝への活用を期待する。

 グリー傘下で動画番組の企画や制作を行うライトフライヤーライブエンターテインメント(WFLE)は、Vチューバー専用のライブ配信プラットフォームの提供を7日に開始。専用アプリをダウンロードすれば、ライブ配信しているVチューバーにメッセージや仮想のプレゼントを送り、交流することができる。

 今秋にはスマートフォンだけで手軽にキャラクターを制作し、誰でもVチューバーとして動画配信をできるようにする。今後2年間で約100億円の投資も計画する。

 ニコニコ動画を運営するドワンゴ(東京都中央区)も、今後数年間で「2桁億円」を投資する方針。仮想現実(VR)技術を用い、動画の中にいるような感覚でライブ配信できるサービスなどを強化する。各社は人気キャラクターを育成して音楽イベント開催やCDの販売につなげるほか、広告などで他企業との提携も模索する。

 ビッグデータの分析システムを手がけるユーザーローカル(東京都港区)によると、今年1月から7月末までの間に4475人がVチューバーとしてデビュー。ただ、収益化できたのは20人程度だという。WFLEの荒木英士社長は7日の事業説明会で「立ち上がったばかりで短期的な収益化を焦っているわけではない」と話すが、収益の安定化が課題となりそうだ。

【用語解説】バーチャルユーチューバー

 架空のキャラクターを使ってユーチューブなどの動画配信を行う人。架空のキャラクター自体を指すこともある。人の動きや表情を読み取るモーションキャプチャー技術などを使って、現実の配信者の声や動きを連動させる。生放送が可能になるため、視聴者と交流することができる。再生回数に応じた広告収入や動画を通じた商品の販売などが主な収益となる。