三菱ガス化学、ファームシップと共同で福島に国内最大の植物工場建設へ

 
三菱ガス化学が福島県白河市に建設する植物工場の完成予想図

 三菱ガス化学は、植物工場の建設に乗り出す。植物工場運営などを手掛けるファームシップ(東京都中央区)と、工場野菜の生産・販売を手掛ける共同出資会社を2日に設立。二十数億円をかけて、完全人工光型として国内最大規模となる工場を福島県白河市に建設する。化学品製造などで培ったノウハウを生かし、2020年度に十数億円の売り上げを目指す計画だ。

 設立した共同出資会社は「MGCファーミックス」。資本金は5000万円で、三菱ガス化学が8割、残りをファームシップが出資した。

 植物工場は、三菱ガス化学が福島県白河市で運営するQOLイノベーションセンター白河内に建設し、19年夏に本格稼働させる。延べ床面積は約8000平方メートルで、日産2.6トンのリーフレタス(1株80グラム換算で3万2000株相当)を生産し、小売店や食品メーカーに出荷する計画だ。発光ダイオード(LED)照明を使うため、天候などに左右されず、一年中安定して生産・供給できるという。

 4日には、三菱ガス化学の倉井敏磨社長らが出席して起工式を行った。同社が植物工場を建設するのはこれが初めて。

 三菱ガス化学は、化学品製造で培った環境制御のノウハウを保有する一方、食品洗浄に使用する過酸化水素や過酢酸製剤、食品を酸素劣化から守る脱酸素剤など、食品の安全・安心に関わるさまざまな製品を扱っている。植物工場の運営を通じて、こうした製品のニーズを正確につかみ、販売増に役立てる狙いもあるという。

 一方、この分野には異業種参入が相次いでいるが、日本施設園芸協会の調査によると17年度は植物工場の実に45%が赤字だった。

 赤字工場の多くは収穫量の安定などに課題を抱え、初期投資や電気代の負担が重くのしかかっているのが現状だ。このため三菱ガス化学は、野菜工場運営を手掛け、豊富なノウハウを持つファームシップと組むことで生産の効率化を進め、工場単独で利益を出せるようにする考えだ。