高価格帯目薬の投入相次ぐ スマホ普及で疲れ目や老眼に悩む人増加

 
ライオンが発売した目薬「スマイルザメディカルA」

 一般用目薬で、1000円以上する高価格帯の商品投入が相次いでいる。ライオンが疲れ目に対応した新商品を7日に発売、ロート製薬や参天製薬も商品を拡充している。従来は500円以下の商品が大半を占め、乾燥やかゆみを防いだり、清涼感を得る目的で購入するケースが多かったが、スマートフォンの普及で疲れ目や老眼に悩む人が増加。高齢化や女性の社会進出といった社会の変化とあいまって、価格上昇につながっている。

 ライオンが7日に発売した「スマイルザメディカルA」(希望小売価格1512円)は、疲れ目やかすみ目に悩む人向けの商品だ。目を酷使すると、涙が瞳にとどまりにくくなり、角膜が傷ついて疲れを感じやすくなることに着目。角膜を修復し、涙をとどめる作用のあるビタミンAを、一般用目薬で定められた基準内で最大限に配合した。同社は「スマホ画面を見続けることで、疲れを感じる人が増えている」と発売理由を説明する。

 ロートが昨年9月から販売する「Vロートアクティブプレミアム」(1620円)は、増加するシニア層にターゲットを絞った。疲労による視覚機能の低下を防ぐため、ビタミンAと、瞳細胞に活力を与え、活性化するタウリンを配合。同社の1000円以上の目薬(アレルギー用除く)は5種類あり、2014年以降だけで4種類目という。

 一方で、女性の社会進出を意識した商品といえるのが、参天製薬が昨年10月に発売した「サンテ ボーティエ コンタクト」(1620円)だ。女性のコンタクトレンズ利用者向けで、目の代謝機能を活発にするビタミンB6や、ピントの調節を行う毛様体筋の働きを促して目の疲れを癒やすビタミンB12など、3つの有効成分を配合した。有名デザイナーの吉岡徳仁氏による、香水の瓶に似たおしゃれな容器のデザインを採用したのも特徴だ。

 ロートによると、アレルギー用を除く一般用目薬市場は、14年から16年にかけて9%拡大。その中でも1000円以上の商品は、37%増と市場の成長を大きく上回った。好調はその後も持続しており、高額商品の投入は今後も続きそうだ。(井田通人)