生保各社、生き残りかけ販売競争 保険料率を見直し、死亡保険料の引き下げ広がる
長寿化に伴い、生命保険各社で保険料率を見直す動きが広がっている。保険金の支払い負担が減っている死亡保険料は引き下げる方向だ。中長期的には団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を控え、契約者が急減し、保険金支払いは急増することが予想される。生保各社の生き残りをかけた戦いが熱を帯びている。
日本生命保険は23日、定期保険の保険料を最大24%引き下げると発表した。例えば40歳男性が保険期間10年、保険金額2000万円の定期保険に入る場合、保険料は12%安くなり、月7020円となる。2016年度の販売実績に当てはめると、平均で12%の値下げとなる。4月以降の新契約から適用する(既契約については7月以降の更新から適用)。
各社が保険料を見直すのは、保険料の算定基準となる「標準生命表」が4月、11年ぶりに改定されることを踏まえたものだ。18年度以降の適用分では、長寿化で全年齢の死亡率が改善し、40歳男性の死亡率は1000人当たり1.48人から1.18人に、40歳女性は同0.98人から0.88人にそれぞれ減少する。
死亡保障商品の保険料を見直す動きは、他社にも広がっている。ソニー生命保険は4月から、主力商品の保険料について、30歳男性で14.6%、30歳女性で3.7%引き下げる。明治安田生命保険は団体向けの死亡保険で、最大約24%を割り引く。同社はこの日、17年度分の個人保険の契約者配当について、総額70億円の増配を実施する方針も明らかにした。対象は死亡保障付きの個人保険と個人年金の約300万件に上る。
長寿化で死亡保険金の支払いが減る分、契約者に保険料の値下げや増配を行う動きはさらに広がる可能性があり、家計負担の軽減につながりそうだ。
ただ、団塊世代や団塊ジュニアが高齢化していくと、主要契約者の急減と保険金支払いの急増が逆風となる。各社は既に新たな客層を呼び込むための戦いを始めている。販売合戦が激化しているのが、医療保険や就業不能保険といった「第3分野」だ。住友生命保険やアフラックの就業不能保険が大ヒットしているほか、明治安田も若年層を狙った小口のシンプルな保険の販売に注力している。
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■生保各社の4月以降の死亡保険料
・日本生命
最大24%の引き下げ
・明治安田生命
団体向けを最大約24%引き下げ
・ソニー生命
30歳男性は14.6%、30歳女性は3.7%引き下げ
・東京海上日動あんしん生命
一部を引き下げ
・三井住友海上あいおい生命
死亡保険と就労不能保険を合わせた主力商品は3~10%引き下げ
・損保ジャパン日本興亜ひまわり生命
平均15%引き下げ
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