障害者就労支援 首都圏中心に多店舗化 manaby・岡崎衛社長

 

 仙台を中心に障害者向け就労支援サービスを展開するmanaby(マナビー、仙台市宮城野区)は、首都圏に本格的に進出する。既に横浜、川崎の両市に拠点を構えたほか、向こう1年以内に首都圏であと5カ所ほどの拠点を開設する方針を固めている。岡崎衛社長は「事業を通じて、多くの企業経営者に障害者雇用の重要性を訴えながら、誰もが活躍できる社会をつくりたい」と話す。

 ◆多様な共生社会促す

 --日本には障害者はどのくらいいるのか

 「障害といっても身体障害、知的障害、精神障害などさまざまなものがあるが、障害者全体としてみると、日本の総人口の約6%に当たる約780万人くらいとされる。manabyで就労支援を受けている人の多くは、車いす生活を余儀なくされる身体障害者や、鬱病などの経験を持つ精神障害者で占められる」

 --障害者雇用をめぐる課題とは

 「多様な人が共生する社会が求められているなか、障害者雇用の促進も大きな社会的課題の一つだ。障害者の法定雇用率が国によって決められているが、実際には『雇用するよりも、納付金を払う方がよい』と考える企業も少なくない。また障害者が就職できたとしても、長続きしないケースも多い」

 --障害者の中には健常者よりも優れたスキルを持つ人も少なくないのに残念だ

 「外見上まったく健常者と変わらない人もいる。その一方で障害者だからとして、職業選択の幅が狭まっているのも事実。特に景気回復の足取りが遅く、雇用の場が限られる地方ではそうした人材の受け皿となる場所がない」

 --そうした受け皿を作るためにmanabyが生まれ、さらに首都圏進出へと発展した

 「得てして障害者が社会の枠組みに無理をして合わせているような点があるが、障害者自身にも自信を持って自分のスキルをアピールできるような武器が必要と考えた」

 ◆遠隔教育を独自開発

 --就労支援サービスでの工夫は

 「在宅で職業訓練ができること。独自に開発したeラーニング(遠隔教育)システムにより、ウェブデザインやプログラミングなどのITスキルを身に付けられる。例えば、動画は項目ごとに短時間で区切ったり、できる限り専門用語を使わないようにすることなどで、初心者にも理解しやすいように工夫している」

 --今後、事業をどう展開していくのか

 「現在は宮城県内に5カ所と福島県郡山市、そして昨秋に開設した横浜市と川崎市の合計8カ所に拠点を持つ。今年は2月の相模原市に続き、首都圏に5カ所の拠点新設を検討している。東北では福島市に今春開設するほか、山形や岩手の各県にも拠点を置きたい。10年くらいの時間をかけて、障害者も仕事を選びやすい社会にしていけたらと思っている」

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【プロフィル】岡崎衛

 おかざき・まもる 宮城大事業構想卒。在学中の2009年2月ユニークアイを設立。16年6月にmanabyを設立し、現職。30歳。宮城県出身。

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【会社概要】manaby

 ▽本社=仙台市宮城野区榴岡1-6-30 ディーグランツ仙台ビル7階

 ▽設立=2016年6月

 ▽資本金=1599万円

 ▽従業員=17人

 ▽事業内容=障害者を対象とした就労支援サービスの提供