スマホの「QR」決済が本格化 ドコモ正式発表 LINE年内30万店導入

 
NTTドコモの「d払い」は、コンビニなどの店頭でスマホ画面を提示して決済する=17日、東京都港区(西岡瑞穂撮影)

 スマートフォンの2次元バーコード「QR」コードを活用した決済サービスが本格化している。NTTドコモは17日、QR決済「d払い」の開始を正式に発表。4月からローソンなど1万9000店舗で利用できる。LINE(ライン)も年内に30万店舗にQR決済「LINEペイ」の導入を目指す考えで、今年はQR決済の普及元年となりそうだ。

 d払いを利用するには、スマホに専用アプリをインストールした上で、アプリを起動してバーコードやQRコードを表示。バーコード読み取り機やタブレット端末を使って読み取ってもらうことで決済が完了する。ドコモの携帯電話契約者の場合は決済料金を携帯料金と合算して支払えるのが特徴だ。

 ドコモの前田義晃執行役員は「美容室やマッサージなど、多くの中小規模の事業者にも導入してもらうようにしていきたい」と述べ、2018年度内に10万店舗への導入を目指す考えを示した。

 ドコモに先行するLINEは、LINEアプリの店舗向け公式アカウント「LINE@(ラインアット)」でアカウントを作成している飲食店など約30万店で、LINEペイによる支払いができるようにする。LINEペイ利用者には、LINE@登録店舗からクーポンを送るなどLINEアプリを活用した付加サービスで差別化を図る。LINEの決済事業子会社、LINEペイの長福久弘取締役は「今年は各社がQR決済を投入することで普及を目指す段階。来年以降、各社がサービスで競合することになるだろう」と、導入店舗やサービス利用者の増加に力を入れる考えを示した。

 QR決済は、QRコードの読み取りをスマホやタブレット端末で行うため、「おサイフケータイ」など読み取り機が必要な決済サービスに比べれば導入コストが格段に安く、店舗側の負担が少ない。利用者もスマホの機種に関係なく、専用アプリを入れるだけで利用できる。

 QR決済は中国で普及が進んでおり、訪日客の利便性向上などを目的として、中国で普及が進む「支付宝(アリペイ)」や「微信支付(ウィーチャットペイ)」を導入する国内企業も増えている。

 政府も成長戦略で掲げる非現金(キャッシュレス)決済の“起爆剤”としてQR決済に期待を込めているが、国内ではアプリの起動なしで支払いができるおサイフケータイの普及が進んでいるため、QR決済は利便性のアピールが急務といえそうだ。

 ■主なQRコード決済サービス(サービス名(運営会社)/開始時期/提携店舗など/特徴)

 d払い(NTTドコモ)/2018年4月/ローソンやマツモトキヨシなど約1万9000店/携帯電話料金と合算支払い

 LINEペイ(LINEペイ)/14年12月/ローソン、和民、ツルハドラッグなど約2万店/LINEアプリと連携

 楽天ペイ(楽天)/16年10月/ローソンやAOKI、美容室など(提携店舗数は非公表)/楽天会員なら初期設定が簡便

 Origami Pay(Origami)/16年5月/ケンタッキーフライドチキン、ロフト、日本交通など約2万店/中国の決済サービスアリペイと提携