DVDレンタル大手、来店客減少に危機感 書店・リサイクル販売へ転換

 

 DVDレンタル大手が書店事業やリサイクル品販売といった新業態への転換を模索している。動画配信サービスが広がり、インターネット経由で映画や音楽を手軽に楽しむ人が増えて来店客が減っているためだ。

 東京・銀座の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」。エスカレーターで6階へ昇ると、美術館のように落ち着いた空間が広がる。レンタル大手「TSUTAYA(ツタヤ)」を傘下に置くカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する新業態「蔦屋書店」だ。

 日本文化や海外美術といったコンセプトごとに商品を並べ、中央のイベントスペースにはアート作品を陳列する。活用するのは2015年に傘下に収めた中堅出版社「美術出版社」の編集力だ。

 仕事帰りに来店した自営業の女性は「他にはない世界観で本屋じゃないみたい」と声を弾ませる。山下和樹店長は「ここに来れば何か発見できる、出会いが生まれる空間を目指した」と語る。

 CCCは17年に「徳間書店」と「主婦の友社」を相次ぎ買収し、10社の出版社を傘下に持つ。編集ノウハウを生かし書店事業を強化する方針だ。

 業界団体の日本映像ソフト協会(東京)によると、16年の市場規模は前年比2.4%増の5258億円。うちレンタルは5.7%減った一方、有料動画配信は30.7%増と急伸した。動画投稿サイトのユーチューブやネット通販大手アマゾンの有料会員向け動画サービスなどに押され、1990年代に1万店超だったレンタル店舗は3000店程度に減った。

 最近店舗に行かなくなったという男性会社員は「動画配信だと延長料金がかからない」と利点を語る。映像ソフト協会は「個人の部屋や移動中など、いつでもどこでも視聴できる環境になっている」と動画を楽しむ形態の変化を指摘する。

 CCCのライバル、ゲオホールディングスも危機感を強める。16年に始めた定額動画配信サービス「ゲオチャンネル」は競合に押されて約1年半で終了した。買い取った洋服や家電などを扱う「セカンドストリート」の店舗を増やすとともに、傘下の「ゲオ」が展開する既存のレンタル店舗のレイアウトを変更し、スマートフォンや大型テレビを販売。中古パソコンにも手を広げる計画だ。