【ベンチャー支援の現場から】関東経産局など「地方発!ミートアップ」見直し
■分野絞り込み新たな価値提供
関東経済産業局と中小企業基盤整備機構関東本部は、地方のベンチャー企業と東京のベンチャーキャピタル(VC)との橋渡しを目的とした「地方発! ベンチャー企業ミートアップ」の切り口を変え、テーマ別に企業を集める形式で初めて開催した。
今回は、関東経産局、中小機構関東本部と茨城県つくば市内でベンチャー支援を手掛ける「つくば研究支援センター」とが共同で、同市に本社を置く研究開発型ベンチャー企業に対象を絞り込んだ「つくば発! 研究開発型ベンチャー企業ミートアップ」として、11日に東京都千代田区の創業支援施設「TIP*S」で開催した。
ミートアップ自体は2015年から2カ月に1度開催してきたが、これまでは分野に関係なくベンチャー企業を募集してきた。しかし「条件を絞り込む方が、そこに関心の高いキャピタリスト(投資家)が集まり、活発な質疑応答などが見込める」(関東経産局新規事業課)とみて新たな試みとして実施した。
つくば研究支援センターの斎田陽介社長は、今回の試みについて「VCや事業会社にとって、新たな価値の提供に役立てられたら」と期待している。
今回の「つくば発!」では、VCや事業支援会社など16社の担当者を前に、5人のベンチャー経営者が登壇し、それぞれ10分間の持ち時間をフルに使って、技術面での優位性や将来の開発計画などを説明した。
トップに登壇したのは産業技術総合研究所(産総研)発ベンチャーのナノルクス。祖父江基史社長は「真っ暗な場所でもカラー撮影ができる赤外線暗視技術を使ったビデオカメラを来年にも実用化させたい」と目標を説明。質疑応答では「この技術で世の中をどう変えたいか」「水中で使えるのか」といった質問が次々と出された。
ナノルクスの他、産総研技術移転ベンチャーのHSPテクノロジーズとグライコバイオマーカー・リーディング・イノベーション、筑波大学発ベンチャーの空間知能化研究所とワープスペースの代表者が次々と登壇した。
卓越した技術を持ちながら、創業間もないベンチャー企業にとって、事業化に向けた実証試験につなげるためにも資金調達は大きな経営課題となっている。関東経産局などは、今回の成果を踏まえながら、次回以降の実施について検討する。
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