あふれる口コミサイト 利用者の“本音”聞ける半面トラブルも
商品やサービスに関する利用者の率直な評価や感想を投稿できるインターネットの口コミサイトは便利な半面、不正が見つかったり訴訟に発展したりするケースも起きている。
インターネット通販大手「楽天市場」では、運営する楽天(東京)が平成27年、少なくとも約11万4千件の架空注文や好意的なレビューの書き込みを繰り返したとして、“やらせ投稿”を請け負っていた業者を提訴。業者は月額8万円で月150件の投稿を請け負っていたというが、不正投稿を認め、1千万円を支払うことで和解した。
飲食店の人気ランキングサイト「食べログ」でも24年、好意的な口コミ投稿の掲載や順位の上昇を請け負う見返りに飲食店から金を受け取る「やらせ業者」がランキング操作していることが判明した。
こうした行為は、宣伝でありながら、そうでないように見せかける販売促進活動として「ステルスマーケティング」(ステマ)とも呼ばれる。サイトの運営者らはチェック強化などの対策を余儀なくされている。
「PGF生命」(東京)が28年に男女2千人を対象に実施した調査では、買い物で「口コミや評判の影響を受けると思う」と答えた人は約70%で、おすすめ情報を知りたい場合「ポータルサイト(ウェブサイト)で検索する」と答えた人は「家族や友人など身近な人に聞く」を上回った。
口コミサイトが消費者に与える影響は大きく、江戸川大の井上一郎准教授(マーケティング論)は、「口コミサイトは消費者にとって重要な情報源で、サイト運営者は規約やガイドラインを整備し、公平性を担保しなければならない。一方、消費者も情報を見極める力を高めることが大切だ」と指摘している。
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