三菱マテ系、不正把握も“隠蔽” 「日本製」信頼さらに傷…問われる経営姿勢

 
三菱マテリアルの本社が入るビル=23日夕、東京千代田区

 三菱マテリアルが23日発表した子会社3社での品質をめぐる不正。神戸製鋼所のアルミニウム・銅製品などと同様の性能データ改竄(かいざん)の発覚は、素材メーカーの体質とも疑われかねない。問題製品は幅広い分野で使用されており、相次ぐ不正に「メード・イン・ジャパン」の信頼がさらに傷つく恐れもある。

 三菱マテリアルによると、問題製品を出荷した可能性がある顧客企業は、詳細を明らかにしていない三菱アルミニウムを除き、三菱電線工業、三菱伸銅合わせて258社。

 鉄鋼大手の神戸製鋼が問題の製品を納入していた525社の半数に迫る数字だ。

 三菱マテリアルは「現時点で安全性に関わる問題は報告されていない」としているものの、三菱電線が不正を説明したのは納入の可能性のある顧客企業40社にとどまり、今後増える可能性もある。

 3社は神戸製鋼同様に具体的な納入先を伏せたままで、一般消費者の不安も招きかねない。

 不正判明後の公表の遅れも神戸製鋼と共通している。三菱マテリアルによると、三菱電線は今年2月にシール材でデータ改竄を把握したが、問題製品の出荷を止めたのは10月23日。親会社の三菱マテリアルに報告したのは25日だった。

 神戸製鋼の場合、8月30日には経営陣が不正を把握していたにもかかわらず、1カ月以上過ぎた10月8日になってようやく公表したことで、消費者を軽視していると批判された。

 三菱マテリアルも不正把握から半月以上が過ぎているにもかかわらず公表せず、隠蔽(いんぺい)と受け取られても仕方ない状況だ。

 出荷停止後にようやく不正を知ったという経営陣のガバナンス(企業統治)も含め、経営姿勢が厳しく問われることになる。(井田通人)

【用語解説】三菱マテリアル

 セメントや銅、アルミ、電子材料など幅広い素材・部品を手掛ける非鉄大手。1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して誕生した。本社は東京都千代田区。個人向けに純金積立のサービスを展開していることでも知られる。2017年3月期の連結売上高は1兆3040億円、連結最終利益は283億円。グループの従業員数は約2万5000人。