ふるさと納税寄付総額2~3割増 最大手トラストバンクが17年度予測

 
ふるさと納税の寄付金で貧困家庭などを支援する取り組みを発表するトラストバンクの須永珠代社長(右端)や佐賀県などの担当者=20日、東京都千代田区

 ふるさと納税サイト最大手のふるさとチョイスを運営するトラストバンクの須永珠代社長は20日、2017年度のふるさと納税の寄付金総額が、16年度比2~3割増との見通しを明らかにした。ただ、例年ふるさと納税が最も活況の12月を前にした4~10月までの実績などを元にした推定のため、上ぶれる可能性もある。

 同日発表した寄付金で貧困家庭を支援する佐賀県や同社などの新事業の発表会で取材に応じた。

 須永社長は「2~3割増えて、3400億~3700億円程度になると思う」と述べた。総務省が発表した16年度の総額は15年度比で約1.7倍の2844億円だったため、17年度は伸びが鈍化することになりそうだ。

 17年度は総務省が4月に全国の自治体に対して、過熱するふるさと納税の返礼品競争の見直しに向け、寄付額に対する返礼品の調達額の割合を3割以下とすることなどを通知。多くの自治体が総務省に従って返礼品を見直していた。

 総務省は、寄付金を起業や移住支援に使う自治体へ特別交付税を配るなどの新たな取り組みを来年度に始めることを発表するなど、返礼品競争から寄付金の使い道へ自治体の意識を切り替えていく考えだ。

 トラストバンクはすでに13年から自治体や寄付者に寄付金の使い道を意識してもらう事業に力を入れている。熊本地震の際の災害支援や、東京都文京区の困窮する子育て世帯へ定期的に食品を届ける「こども宅食」事業などのクラウドファンディング型の事業で累計額が約51億円に達したという。