公衆無線LAN、規制強化へ パスワード不要のアクセスポイント原則禁止

 
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 総務省は15日、情報漏洩(ろうえい)やサイバー攻撃に利用される危険性のある、パスワード不要の公衆無線LANアクセスポイントを原則として規制する方針を固めた。今年度中に有識者会議で課題をまとめ、来年度に公衆無線LAN事業者向けのガイドライン(指針)を改定する。訪日客が増加する2020年東京五輪・パラリンピックに向けて公衆無線LANのセキュリティーを強化することでサイバー攻撃の増加を防ぐ考えだ。

 公衆無線LANは、スマートフォンの毎月のデータ通信量を節約した上で高速通信ができるため利便性が高く、携帯電話事業者や喫茶店などは無料で提供している。

 ただ、パスワードを入力しなくても利用できる、暗号化されていない公衆無線LANのアクセスポイントでは、クレジットカードなどの重要な情報をやり取りすると、悪意のある第三者から情報を盗み取られる可能性もある。また、パソコンやスマホが不正アクセスされ、身に覚えのないサイバー攻撃に利用される恐れもある。

 総務省はこうした状況を踏まえ、暗号化されていないアクセスポイントを原則として提供しないよう、携帯電話事業者などの公衆無線LAN提供者に呼びかける考え。今月下旬から今年度内に4回程度、有識者会議を開いて課題を整理して対策を議論する。

 一方、公衆無線LANを導入している自治体や商店などにとっては、訪日客や観光客の誘致につなげるために利用しやすいようにする必要もある。そのため、総務省は一律でパスワード不要のアクセスポイントを規制するのではなく、不特定多数が利用する大規模な観光施設や公共施設では規制するなど、セキュリティーと利便性の両立を図る方向で調整する。