【現場の風】バンダイナムコ、VR施設を新宿から世界へ アジア、中東、北米へ展開
□バンダイナムコエンターテインメント エグゼクティブプロデューサー・小山順一朗さん(51)
--7月に仮想現実(VR)技術を使った娯楽施設「VR ZONE SHINJUKU」(東京都新宿区)をオープンした。漫画「ドラゴンボール」やゲーム「マリオカート」の主人公になれる点が人気だ
「VR元年といわれたが、若い女性が本物と勘違いして『ワー!キャー!』と取り乱すようなアトラクションを展開したり、インスタグラム(写真投稿サイト)映えするような料理を提供するレストランを施設内に開くなど、男性のマニア向け施設にはしないようにすることを心がけた」
--ゲームセンターの閉鎖が相次ぐ中で、VRの娯楽施設に対する期待は
「ゲームセンターはゲームの開発費が高騰していることなどで厳しい状況だ。一方でVR施設は相場観がまだ確立されていないので、自由に値付けできるのが大きい。(ドラゴンボールの主人公)『孫悟空のカメハメ波』を打つのがいくらなのか、相場はない」
--これまでゲームの開発に携わってきたが、VRコンテンツ開発の苦労は
「家庭用やゲームセンター、スマートフォン用などさまざまなゲームの開発に携わってきたが、VRでもゲームの技術や知見は使っている。最初に成功する体験をさせた後で失敗させるというサイクルがゲームではあるが、VRでは失敗の方が喜ばれる。特に、空中から落下して怖い思いをするなど、普通ではできない体験が喜ばれる傾向にある」
--今後のVR施設の展開は
「ディズニーランドが米国発の娯楽施設として世界に進出しているように、当社の人気IP(知的財産)を使って台湾などのアジアから中東、北米などへ展開していきたい」
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【プロフィル】小山順一朗
こやま・じゅんいちろう 日大理工学部卒。1990年4月ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)入社。体感ゲームの開発などに携わった後、2016年4月より現職。静岡県出身。