危機対応事業 引き合い増加で若手育成

 

 □ニュートン・コンサルティング 副島一也社長

 企業・組織が安心して業務に取り組める環境を作るリスクマネジメントのプロを自認するニュートン・コンサルティング。災害などに備える事業継続(BCP)、情報管理体制を堅固に構築するためのITガバナンスなど危機対応に備えるソリューションを提供し、多くの企業から高い評価を獲得。引き合いに応じるため人材育成に取り組むとともに、企業には「危機管理対応をしていても事故は起きる。だから事故を起こす企業文化を変える必要がある」と副島一也社長は強調する。

 ◆BCPで70~80%

 --新規顧客が増えている

 「新規参入時は知名度もなく顧客獲得に苦労した。しかし今では営業活動をやらずに、お客さま支援事例の紹介やニュースリリース、メールマガジンなどでの情報発信で新規開拓ができるようになった。今の規模では全ての引き合いに応えきれない状況だ」

 --要望に応える対策は

 「人材を採用し育成に乗り出した。今年4月には新卒と中途合わせて20人を採用した。来年も20人ほど受け入れる予定だ。新人を教育してコンサルタントに育て上げるのはハードルが高いが、引き合いの増加で力のあるコンサルタントはフルに働いている。若手育成が急務で入社時研修のほか、コンサルタントのスキルアップを目的に継続的に研修・教育に取り組んでいる。また、仕事の性格上、精神的にも肉体的にも耐性が求められるので教育と同時にケアにも時間をかけている」

 --どんな引き合いが多いのか

 「リスクマネジメント全般だが、BCPが70~80%を占める。最近はサイバーセキュリティーなどITガバナンスが増加傾向にある。また英国でもともとスタートした会社なのでERM(全社的リスク管理)やITガバナンスも英語で対応できるのが強み。他社は難しいのでノーコンペで受注できている」

 --日本企業のBCPの現状は

 「計画を作ってその通りに動くが、想定外のことが起きると戸惑ってしまう。海外の企業は細かい計画を立てるより臨機応変な行動を得意とし、緊急時にもすぐに動くことができる。こうしたときに力を発揮できることが重要なので、柔軟に対応できる組織が求められる」

 ◆嘘つく文化変える

 --リスク管理で気をつけることは

 「会社・組織で事故が起きるのは弱い部分。『売り上げを伸ばせ』『コストを削れ』といわれても『できない』といえず嘘をつく。すると品質事故、不適切会計、コンプライアンス違反など『起きなければいいな』と思うことが起きてしまう」

 --どうすれば防ぐことができるのか

 「嘘をつく文化を変えなければいけないが、変えられるのは社長だけ。リスクマネジメントを整備しても文化を変えないと駄目だ。何かシグナルが出ているので気になっており、経営者も起きることが分かっている。しかし、起きてから対応する。それでは遅い。そのときには大切なもの、例えばブランドイメージは傷ついてしまう。だから『あのとき、もっとこうしておけば良かった』を世界からなくしたい。それがわれわれのビジョンだ」

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【プロフィル】副島一也

 そえじま・かずや 明治大法卒。1991年日本アイ・ビー・エム入社。98年英国で災害対策や危機管理などのコンサルティングを行うNEWTON ITの立ち上げに参加。取締役を経て、2006年社長。同11月ニュートン・コンサルティングを設立し、現職。50歳。福岡県出身。

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【会社概要】ニュートン・コンサルティング

 ▽本社=東京都千代田区麹町1-7

 ▽設立=2006年11月

 ▽資本金=3000万円

 ▽従業員=45人

 ▽事業内容=リスクマネジメントに関わるコンサルティング