神戸製鋼データ改竄 発覚から1週間余 国内取引先は全都道府県に約6100社、過半は中小企業

 
神戸製鋼グループのロゴマーク=東京都品川区

 神戸製鋼所がアルミ製品などの性能データを改竄(かいざん)していた問題が発覚し、1週間余りが過ぎた。帝国データバンクが16日に公表した調査で、国内取引先は約6100社に及ぶことが判明。中小企業が過半を占めており、神戸製鋼の業績が悪化すれば、下請けや仕入れ先に悪影響が飛び火しかねない。

 「不正問題の今後の広がり次第では、一定の影響を受けるユーザーや取引先も出てくる」。帝国データバンクの調査担当者は今回の問題の影響に関し、こう懸念を示した。

 調査によると、神戸製鋼所グループの国内取引先は47都道府県全てに及んでいる。下請けと部品などの仕入れ先が3948社で、製品の販売先は2688社。重複を除けば、国内6123社と取引している。

 全体で、年間売上高が10億円未満の中小企業が56.0%を占めた。都道府県別では、大阪府の1146社が最も多く、全体の2割弱に上った。2位は主力の製鉄所がある兵庫県で997社、東京都が875社と続いた。

 調査担当者は「大手企業の取引先では東京都に集中していることがほとんど。それに対し、神戸製鋼の経営に問題があった場合は通常のケースよりも、関西経済に大きな打撃を与える可能性が高い」と指摘した。

 神戸製鋼による不正は当初のアルミ・銅製品から鋼線や特殊鋼にも拡大しており、不正な製品の納入先も延べ約500社に膨れ上がっている。今後の調査次第では、納入先がさらに拡大する恐れもある。

 業績への影響はまだ見通せないが、神戸製鋼の品質保証担当者自身が検査データを改竄しているケースも確認された。市場の不信感は大きく、神戸製鋼株は問題発覚後、売り注文が殺到。16日の終値は827円と発表前の6日に比べて4割程度下落した。

 日立製作所は16日、神戸製鋼所のデータ改竄問題で、日立製の鉄道車両に部品交換の必要が生じた場合、費用を神戸製鋼に請求することを検討すると明らかにした。