健康志向の高まりチャンスに 「機能性表示食品」の発売相次ぐ、高付加価値をPR

 
カゴメが10月3日に発売する機能性表示食品「カゴメ野菜ジュース」

 食品の効果を国に届け出れば表示できる「機能性表示食品」の発売が相次いでいる。カゴメは22日、機能性表示食品の野菜ジュースを10月3日に発売すると発表した。このほか、しょうゆや牛丼など幅広い商品に広がる。健康志向が高まるなか、企業側は高付加価値商品としてPR。同様の制度の特定保健用食品(トクホ)と違い、国の審査を受ける必要がないため参入が容易な点も発売が増える背景にある。

 カゴメは、野菜に含まれるアミノ酸の一種が「血圧を下げる効果がある」として、機能性表示食品の野菜ジュースを発売する。その狙いについて、同社は「世の中の健康志向が高まっているため」(広報担当者)と説明する。

 機能性表示食品になる前と後で、実は味などの中身に変化はない。それでも、カゴメが昨年2月に発売した機能性表示食品のトマトジュースは、販売数量が3割も増えるなど人気だ。同社は野菜ジュースを当初は5月から売り出す計画だったが、人気となって商品供給が間に合わなくなる恐れがあるとして、10月に延期したほどだ。

 アサヒ飲料も、カルピスブランドとして初となる機能性表示食品の乳性飲料「カラダカルピス」を4月に発売。販売が好調なため、年間の売り上げ目標を150万ケースから200万ケースに上方修正した。

 節約志向が根強いなか、高付加価値商品としての期待も高い。キッコーマンは今月29日、「高めの血圧を改善する」効果をうたった機能性表示食品のしょうゆ(税別330円)を通販限定で発売する。価格は同社の通常商品に比べ1.5倍程度高くし、価格競争と一線を画す狙いだ。

 吉野家は、食後の血糖値上昇を緩やかにする効果をうたった機能性表示食品の牛丼の具「サラ牛」を通販限定で3月に発売。同様の機能を持つ牛丼を店舗でも7月に発売。店では調理するため機能性表示食品として売れないが、並盛価格は通常より100円高い480円(税込み)だ。

 機能性表示食品は、その手続きの簡便さも参入を後押しする。同制度は2015年4月にスタート。消費者庁に効能の科学的な根拠を提出し、受理されれば販売できる。準備から受理まで一般的に半年程度で済むという。これに対しトクホは「国の審査に通るまで数年を要する場合もある」(大手食品幹部)として敬遠する企業は少なくない。

 ■主な機能性表示食品

 ◆カゴメ

  ・商品 カゴメ野菜ジュース(720ミリリットル)

  ・価格 230円前後

  ・うたっている機能 高めの血圧を下げる

 ◆アサヒ飲料

  ・商品 カラダカルピス(乳性飲料)

  ・価格 160円

  ・うたっている機能 体脂肪を減らす

 ◆キッコーマン

  ・商品 いつでも新鮮 大豆ペプチド減塩しょうゆ

  ・価格 330円

  ・うたっている機能 高めの血圧を改善する

 ◆江崎グリコ

  ・商品 メンタルバランスチョコレートGABA

  ・価格 150円

  ・うたっている機能 ストレスを低減する

 ◆吉野家

  ・商品 サラ牛(牛丼の具、5袋)

  ・価格 2980円

  ・うたっている機能 食後血糖値の上昇を緩やかにする

 ※サラ牛以外は税抜き価格