東北青年清酒協議会の夏季研修会開催
Sakeから観光立国□平出淑恵(酒サムライコーディネーター)
東北青年清酒協議会(渡邉康衛会長)の夏季研修会が8月29日、秋田市の秋田キャッスルホテルで開かれ、オブザーバーとして出席した。60回を数えた今回は豪華な講師がそろった。
特に今回は、日本ソムリエ協会の君嶋哲至副会長と、世界最高峰のワインの称号「マスター・オブ・ワイン(MW)」を国内で唯一持つ大橋健一氏というワイン産業に広く関わる2人が講師を務めた。ともに世界最大のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)SAKE(日本酒)部門の上位審査員として、日本酒の国際的な発信や振興に長年尽力している。ちなみに同部門のチャンピオンは過去3年、東北の蔵から誕生している。
君嶋氏は「日本ソムリエ協会の日本酒・焼酎の取り組み」をテーマに、同協会が今年から開始し、一次試験が終了したばかりの日本酒資格「J.S.A.SAKE DIPLOMA」について紹介。多くのソムリエ協会員の受験があり、全国の実力派ソムリエも多数受験したことが伝えられた。ソムリエ式のテイスティングによる日本酒の表現方法、楽しみ方へのアドバイスなどを具体的に説明した。続いて大橋氏は、各国のワイン市場に対してビジネスコンサルタント的な役割を果たすMWの視点から「将来における日本酒の立ち位置を高める」というテーマで講演。質疑応答では、関心の高まっている地理的表示(GI)制度についての質問もあった。
両氏の講演は、日本の国内外のワインに関わる人材や市場に、日本酒を啓蒙する大きな可能性を予感させる内容だった。
最後の講師として自由民主党筆頭副幹事長の小泉進次郎衆議院議員が登壇。「東北から始めよう人生100年時代の国つくり」というテーマで、少子高齢化を人生100年時代と捉えてポジティブに語りかけ、「生産者の方々と飲む酒が人生で最高に美味な酒」と締めくくった。
懇親会は、豪華な講師陣を囲んで華やかな活気にあふれた場となり、非常に有意義な研修会と感じた。
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【プロフィル】平出淑恵
ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)の日本代表。日本ソムリエ協会理事、観光庁酒蔵ツーリズム推進協議会メンバー、ミス日本酒顧問などを務める。
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