トヨタとマツダが資本提携 EV開発を加速 米国内に新工場建設検討
トヨタ自動車とマツダが資本提携する方針を固めたことが4日、分かった。トヨタがマツダに5%前後を出資し、マツダもトヨタに出資する方向。電気自動車(EV)の共同開発に加え、米国内での新工場の建設を検討する。EVなど環境対応車や自動運転の開発競争を優位に進めるためにグループ陣営の拡大を目指すトヨタと、トヨタの支援を受けて開発力を補いたいマツダの思惑が一致した。
トヨタとマツダがそれぞれ同日開く取締役会で決議して、発表する。両社は平成27年5月に環境や安全技術分野を軸に包括提携することで基本合意し、具体的な提携内容について協議を進めてきた。両社は資本提携を機に、それぞれのノウハウを融合して、EVの性能を左右する制御技術の共同開発に取り組む。EVについて、トヨタは32年までに量産を始め、マツダも31年に米国で投入する計画を表明しているが、資本提携後も車両の設計や生産については個別に進める。
米国事業でも連携する。米国では新会社を共同で設立して、人気の高いスポーツ用多目的車(SUV)を最大で年30万台生産できる大型工場を建設する案が有力。マツダは米国に工場がなく、日本やメキシコから輸出しており、米国での現地生産に乗り出せば、為替変動リスクを軽減できる。
今回、両社が資本提携まで踏み込むのは、環境対応車や自動運転の開発競争が世界的に激化する中で、生き残りに向け、関係強化が欠かせないと判断したためだ。マツダの小飼雅道社長は昨年11月、産経新聞などの取材に対し、トヨタと資本提携に踏み込むことは「現時点で考えていない」と説明していた。ただ、マツダの研究開発費は29年3月期で1269億円と、トヨタの8分の1に過ぎず、開発競争に乗り遅れないためには、資本面の結びつきが必要との判断に傾いた。
トヨタとマツダの資本提携により、世界の自動車業界は、トヨタと独フォルクスワーゲン(VW)、仏ルノー・日産自動車連合、米ゼネラル・モーターズ(GM)の4陣営への集約が一段と進むことになる。
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