タカタ破綻、製造業で戦後最大 高田会長兼社長「深くおわび」 中国系傘下で再建へ

 
民事再生法の適用を申請し会見するタカタの高田重久会長兼社長(左)=26日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

 欠陥エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題で経営が悪化しているタカタは26日、民事再生法の適用を東京地裁に申請し、受理された。負債総額は最終的に1兆円を超え、製造業の経営破綻としては戦後最大となる。タカタは裁判所の関与の下、債務の総額を確定させるとともに、資金を出資してもらう中国系企業の傘下で再建を目指す。

 タカタは26日午前、東京都千代田区の法律事務所で記者会見を開き、高田重久会長兼社長は「関係者、債権者の皆さまにご迷惑をお掛けすることになり、心より深くおわび申し上げる」と経営破綻について謝罪した。再建の見通しが立った段階で、高田会長兼社長は辞任する意向を示し、「事業譲渡などの時間軸を考えると、法的整理以外の方法がなかった」と無念さをにじませた。

 タカタは26日、再建を支援するスポンサーとして、中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品会社キー・セーフティー・システムズ(KSS)と基本合意。KSSは1750億円を出資して新会社を設立する。エアバッグの発火装置以外の全事業を引き継いで、事業を継続しながら再生手続きを進める。事業譲渡は来年3月までの完了する予定。旧会社にはリコール費用などの債務を残して、債権者への弁済を担わせる。

 タカタの負債総額は3月末時点で約4千億円だが、自動車メーカーが肩代わりしているリコール費用を含めた額は1兆円超で、東京商工リサーチは1兆7千億円との推計を示した。

 TKホールディングスなどタカタの米国法人も25日夜(日本時間26日朝)、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の適用を申請した。再建はデラウェア州連邦破産裁判所の管理下で進められる。

 タカタは当面の資金繰りのため、三井住友銀行などからつなぎ融資を実行してもらう。自動車メーカーも製品の安定供給に向け、資金繰りを含めた再建計画に協力する。

 タカタの平成29年3月期の最終損益は795億円の赤字となり、財務の健全性を示す自己資本比率は平成29年3月末で7%と前期末の27・5%から大きく悪化。世界で1兆円超にのぼる見込みのタカタのリコール費用の大部分を肩代わりしている自動車メーカーは、債務の総額を確定させることで、再建をより確実に進められる法的整理の申請をタカタ側に強く求めていた。

 タカタの再生法申請後も製品の安定供給を重視する自動車各社は再建計画に協力する。タカタは27日の株主総会で、約6割の株式を握る創業家の高田会長兼社長を含む現取締役6人を再任する議案を審議する。