「からあげクン31年間、作り方変わらず」社長、機械化意欲

ローソン株主総会詳報(2)
株主総会に参加するローソンの株主ら=30日、東京都千代田区の東京国際フォーラム

 --ローソンバンク設立準備会社について。現状ではセブン銀行に空港も押さえられている。これからやっていくといっても、勝ち目がないんじゃないか

 竹増貞信社長「セブン銀行は、設立から十数年。セブンイレブンだけじゃなく、町のいろんなところにATMを設置している。今、金融業界は、フィンテックという言葉も出てきている。金融でも、イノベーション、技術革新が生まれている。足下で起こっていることをしっかりと消化した上で、5年後、10年後、金融業界がどうなっているのか見極めてやっていきたい」

 「店舗では現金のお客さまが75%を超えている。これが今後どうなるか。後発なりのメリットを取り込んで、利便性のあるサービスを提供できるようにし、持たざるところには、圧倒的な差別を図っていきたい」

 --私はローソンストア100の加盟店を経営しています。少し前にリストラをして落ち着いているが、消費税が上がって1番影響を受けるのが、利益の薄いローソンストア100。営業時間なども含めた対応策は

 「3年前にローソンに入社したときに、ローソン100にも研修に行った。通常のローソンにも、NHKの『ボス潜入』という番組で店舗で勉強した。ストア100は、商圏も広く、暮らしを支えているという方が多かった。店を閉めてリストラをしたときには、レギュラーローソンより、100のほうがお客様からお困りの声をいただいた。商事が株主に入ったこともありますが、電力料金はまちエネというところと契約して、安価な電力を供給する。人件費は今いらっしゃる方が長く勤めていただけるように、福利厚生を考えていきたい。旅行、ユナイテッドシネマなど、いろいろなサービスを検討していきたい。シニアや外国人の方が働きやすいように、外国人専用、シニア専用の研修制度も必要ではないか。店舗の生産性の向上にも取り組んでいかないと行けない」

 「あとは機械化。デジタルで巻いていけるところは巻いていこうじゃないかと。本部にいると、オペレーションの改善について話が上がってくるのは、デジタルにかかわるところが非常に多い。ポスレジの外国語対応とか。しかし、実際の店舗では、高校生からシニアまでみんなができる仕事は本部に上がってこない。『からあげクン』は31年間、作り方がほとんど変わっていない。ボタンを押せば、からあげクンが自動でできるとか、変えられないか。今、投資のコストなどを考えて、仕分けをしながら、店舗でできる仕事を機械化しようとしている。営業時間については、われわれのお店は、皆さん、同じ看板を付けている。時間が違ってくると、お客さまの混乱を招くことになる。必ず開いている他チェーンに流れてしまう恐れがある。オーナーさんとクルーさんと一緒になって、店舗で必要なマンパワーを下げて、24時間体制でできるところはやっていきたい」

 --海外事業の国ごとの収益が出ているのかということと、カントリーリスクについて。特に中国で、累計でどれくらい投資し、どれくらい収益を挙げているのか。戦乱などカントリーリスクへの対応は

 「中国については、20年かかって、1千店になった。国ごとの個別の収益はご容赦を。まだ黒字という地域は出てきていない。上海は進出して20年。500店舗を超えたくらいから、固まりとして認識いただいてきた。上海はまもなく、黒字化の見通しとなっている。大連や重慶でも黒字化のめどが立ちつつある。武漢でも手応えを感じている。中国に対する累計の投資は200億円。一方、カントリーリスクについては、戦乱状態になる、ならないにかかわらず、派遣している職員の安全は、外務省とも三菱商事とも連携して情報収集して、確保していく。現地の従業員も大切な仲間です。安全に関しては、打てる対策を打っていく」

■詳報(3完)「架空融資事件に玉塚氏はコメントを」株主が要求するも社長が回答 に続く