「親会社でも条件悪い場合は取引しない」三菱商事出身の竹増社長

ローソン株主総会詳報(1)
株主総会に参加するローソンの株主ら=30日、東京都千代田区の東京国際フォーラム

 ローソンの定時株主総会が30日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれた。カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリング社長などを経て、平成22年からローソンの経営に加わった玉塚元一会長(55)が退任し、親会社の三菱商事出身の竹増貞信社長(47)が再任した。会長職は当面置かず、竹増社長に建言を集中し、三菱商事との連携を強化する方針だ。

 総会は午前10時に開会。一連の経営施策や業績の説明は約30分で終了し、質疑応答に移った。主なやり取りは、次の通り。

 --フランチャイズの企業として、オーナーの待遇をどう考えるか。今のオーナーは休みもとれず、アルバイトの穴埋めを始終やっている。売り上げも競合店が増えていて大変苦労されている

 竹増貞信社長「フランチャイズビジネスでは、加盟店のオーナーさんとは運命共同体。どちらかだけでは成り立たない。共存共栄のビジネスモデルの確立が大前提です。当社は一昨年、廃棄ロスを本部も負担するなど、新しいパッケージを導入した。また、発注に2時間かかっていたのをセミオート発注システムを導入して30分程度に短縮した。また、昨年、お店の売り上げをもっと増えるんじゃないかと、夕夜間にもっと使っていただけるんじゃないかと、総菜や豆腐とか、牛乳を置いている棚を1本増やした。また、日用品を積んでいる棚の高さを高くして、より商品を見ていただけるようにしている」

 「生活支援度の高い商品を強化する投資を行った。今年、それを売り上げという形でお客様の評価をいただこうじゃないと加盟店さんと取り組んでいる。人手不足は厳しくなっている。業界の競争も厳しい。地域1番店となって売り上げを上げられるように、加盟店さんの声をよく聞いて、新しい次世代のコンビニ有り様を、加盟店産、クルーさんと一緒になってやっていきたい」

 和田祐一上級執行役「加盟店支援の体制として、運営本部としては、店舗を巡回してスーパーバイザーががいる。引き続き、スーパーバイザーの能力を強化するともに、個店の事情に合わせたサポートをする。より充実したものにするために日夜活動している。東京、大阪、名古屋などの大都市圏では、クルーさんのシェアリングなど、地域の事情に合わせた対応をしている。店舗の生産性を高める取り組みを進めている。ファーストフーズの調理、計算の簡易化。時間ごとの適正な人員配置をして、高い生産性を目指す」

 「収益をしっかりサポートするということではスーパーバイザーのサポートだけでなく、新店の支援を強化している。開ける際の応援態勢。開ける前のトレーニング、開けた後の支援体制。品揃えをしっかり実現してもらう、新店オープン後、半年間、廃棄の支援をして、その後の加盟店に対する売り上げを安定化させる仕組みを導入してバックアップしている」

 --持ち株数も増やし、応援したい。業績が非常によく、株価が7500円前後になっている。いいことだが100株持とうと思うと75万円。なかなか出せる金額ではない。より多くのファンに株主になってもらうために株式分割はしないのか。三菱商事が親会社になった。相乗効果を期待しているが、どうしても利益相反の問題は生じないか

 竹増社長「株式について、投資単位は100株。単位を下げるということは、株式市場の活性化につながるメリットはあるが、かかるコストもある。コストと効果を考えると、株式分割はいまのところ考えていない」

 「三菱商事との関係ですが、2月にTOBが完了した。当社の上場と経営の自立性を維持して、相乗効果を目指すというのが認識だ。適切なガバナンスを維持、継続していく。三菱商事単体だけでなく、グループとどう相乗効果を生み出すかが私どもの課題だ。単なる取引相手としての三菱商事に対しては、他社より、1円でも、1グラムでも条件が悪い場合は一切取引しない。私から、役員にも徹底している。取引先としてきたときに、株主として見る必要は無い。ローソンの収益を上げるかどうか、1点のみ。三菱商事は当社の将来性に1500億円を投じた。その成果というものは、三菱商事も取引で取ると考えていないし、ローソンの企業価値の向上がすべてだ」

■詳報(2)「からあげクン31年間、作り方変わらず」社長、機械化意欲 に続く