USJ本命キャラ「ミニオン」でミッキーに対抗 悲願「ディズニー超え」に現実味

 
USJの新エリア「ミニオン・パーク」のオープニングセレモニー=4月19日、大阪市此花区

 大阪市のテーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)」に4月、キャラクター「ミニオン」を題材にした新エリア「ミニオン・パーク」がオープンした。テーマパークに不可欠の「本命キャラクター」が不在だったUSJは数年前からミニオンを猛プッシュ。新エリア完成で「ミッキーマウス」がいる東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)を追い上げる態勢を整えた。(産経新聞社 藤原直樹)

 映画の騒動を体験

 ミニオンはアニメ映画「怪盗グルー」シリーズに登場するキャラクター。ドタバタ活劇で大人から子供まで人気を集めている。今夏には最新作「怪盗グルーのミニオン大脱走」が上映される。USJでは、数年前からイベントやパレードなどにミニオンを積極的に登場させて定着を図ってきた。

 そんな中登場する新エリアは、昨年5月に終了したアトラクション「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」の跡地付近に建設された。広さは約8400平方メートル。中心となる乗り物型アトラクションは大きなドーム形スクリーンに投影される映像と乗り物の動きが合わさって、ミニオンが繰り広げる騒動に巻き込まれたような体験ができる。物販や飲食の施設もあり、総投資額は約100億円に上る。

 4月19日に開かれたオープニングセレモニーでは、映画で怪盗グルーの声を務める落語家の笑福亭鶴瓶さんがミニオンたちと一緒に登場。鶴瓶さんは「アトラクションは想像以上。ミニオンの毛と毛穴まで見えた」と話し、紙吹雪と花火で門出を祝った。

 家族連れをつかむ

 USJがここまで「ミニオン推し」を進める背景には、ミッキーマウスのように世界中で愛されるキャラクターを多数抱えるディズニーへの対抗心がある。キャラクターはグッズ販売も牽引するため、テーマパークにとっては不可欠だ。

 しかし「映画のテーマパーク」としてスタートしたUSJは、本命と呼べるキャラクターを持っていない。このため家族連れの人気が高まらず、不振に陥った時期もあった。

 近年は「スヌーピー」や「ハローキティ」などすでに人気が定着しているキャラクターをアトラクションなどに採用し家族連れの取り込みを図るとともに、アニメやゲームなど映画にこだわらない戦略で復活を果たした。しかし、パークの顔となるキャラクターは不在のままだ。

 それだけにミニオンへの期待は大きい。USJ運営会社の黒川浩延部長は「入場者の3人に1人がミニオンのグッズを購入しており、仮装の題材としても人気が高まっている。新エリアがミニオン人気をさらに拡大させる起爆剤になるはずだ」と話す。

 ディズニー超えは

 USJは平成28年度の入場者が1460万人となり、3年連続で過去最高を更新。一方のディズニーは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの両パークの合計が3千万人で、前年から0・6%減少した。

 好調が続くUSJはディズニーの半数の1500万人が目前に迫っており、実質的な「ディズニー超え」という悲願成就が現実味を帯びてきた。ただ、ディズニー側も東京五輪が開催される32年までに総額2500億円の大規模投資で巻き返しを進める計画で、競争の過熱が予想されている。

 USJの入場者がキャラクターたちと水鉄砲を撃ち合う夏季恒例のイベントで、今年の主役を務めるのはミニオンだ。ミッキーマウスのような圧倒的な定番キャラクターになれる素質を持っているのか、イベントの人気度から見えてきそうだ。