ヤマハ発、前二輪バイク拡大 20年までに850cc級投入、安定性アピール

 
ヤマハ発動機が世界初公開した大型三輪バイクのコンセプト車=東京都江東区の東京ビッグサイト

 ヤマハ発動機は前輪が2つ付いたバイクのラインアップを拡大する。現行の排気量125~155ccに加え、2020年までに850cc級の大型車を追加。高出力のスポーツ走行もできる安定性をアピールし、低迷する国内需要の喚起を目指す。

 ヤマハ発は14年に125ccの前二輪バイク「トリシティ」を発売。ぬれた路面などでも安定して曲がれ、タイヤの接地面が増して制動もしやすい特徴を訴求している。結果、国内で累計約1万台を販売し、石畳の道が多い欧州でも人気が高い。

 今年1月には国内で高速道路も走行できる155ccを投入し、強度が高い骨格を採用して2人乗りにも対応。年700台の国内販売の計画に対し、1月末までに300台弱を販売した。

 前二輪は安定性が高い一方、左右の車輪の動きが大きく制御が難しい。ヤマハ発は前輪の動きを平行四辺形に制御する機構を採用し、車体を傾けて曲がるバイクの操作感覚と路面への接地感を両立した。

 15年には前二輪の技術を展開した850ccの試作車を公開。20年までに同水準の大型スポーツ車を投入し、バイク生活を再開するリターンライダーらの需要を取り込みたい考えだ。

 ヤマハ発が前二輪の普及を目指すのは国内市場の縮小が続いているためだ。日本自動車工業会によると、国内の二輪車販売は1982年に326万9872台の過去最多を記録したが、2016年は37万2891台と約9割減少。安全で手軽な電気自転車や軽自動車に需要が移行しているとみられ、ヤマハ発は前二輪バイクを普及して市場回復につなげる狙いだ。

 前二輪バイクの設計グループを率いた高野和久グループリーダーは「バイクへの苦手意識を払拭し、市場を広げたい」と話した。