自動運転強化、周辺業界で買収相次ぐ カメラやセンサーの技術吸収、車各社に売り込み

 
高速道路の同一車線で自動運転できる日産自動車「セレナ」にもセンサーやカメラがふんだんに使われている(日産提供)

 自動運転をめぐり周辺業界で買収が相次いでいる。自動運転技術の実現に欠かせないカメラやセンサーなどにノウハウを持つ企業を傘下に収めて、技術を吸収し、自動車メーカーへの売り込みを強化する狙いだ。

 米半導体大手インテルは3月、自動運転車の技術開発を手掛けるイスラエルのモービルアイを153億ドル(約1兆7000億円)で買収することで合意した。両社は既に自動運転技術の開発で提携しているが、モービルアイをグループ内に取り込んで開発を加速させる。

 モービルアイは自動車向けカメラを手掛けており事故回避に向けた技術開発に強みを持つ。インテルは自動運転の要の一つであるカメラ技術を買収により手中に収め、世界的に激化する開発競争を優位に進める考え。

 パナソニックは、資本業務提携しているスペインの自動車部品大手フィコサ・インターナショナルに追加出資し連結子会社化する。フィコサは、世界の自動車メーカー向けにサイドミラーなどを製造、販売。パナソニックは子会社化により車の周囲を映し出す「電子ミラー」など先進運転支援システムの開発などを加速させる。パナソニックは、2018年度に自動車関連事業の売上高を2兆円にする目標を掲げ、自動運転など関連技術の開発強化を進めており、今回の連結子会社化もその一環となる。

 自動車部品メーカーでも買収の動きが広がる。デンソーは、富士通傘下のカーナビ大手「富士通テン」に対する出資比率を51%に引き上げる方針。富士通テンは自動運転に必要となるミリ波レーダーなどに強みを持ち、子会社化で自動運転の技術開発を強化する。ドイツの自動車部品大手でもコンチネンタルやZFが自動運転に不可欠となるセンサーやレーダー技術分野で買収を繰り広げている。

                   ◇

 ■自動運転をめぐる自動車部品、IT、電機の最近の出資案件

 【自動車部品】

 デンソー

 ・自動運転に必要なミリ波レーダーに強み持つ「富士通テン」に51%出資へ

 コンチネンタル(ドイツ)

 ・米国のレーザー技術メーカーからセンサー部門を買収

 ZF(ドイツ)

 ・レーダー技術を手掛けるドイツ企業の株式の4割取得

 【IT、電機】

 インテル(米国)

 ・自動運転車の技術開発を手掛けるイスラエルの「モービルアイ」を153億ドルで買収

 ヤフー

 ・ソフトバンク傘下の「SBドライブ」に約4億9000万円を出資

 パナソニック

 ・スペインの自動車部品「フィコサ」に69%を出資へ