Tranzax 中小企業の成長 債権電子化で支援
トップは語る□Tranzax社長・小倉隆志さん(53)
--中小企業が持つ売掛金を電子記録債権にして早期に現金化するサービス「サプライチェーンファイナンス」を手掛けている。狙いは
「下請けの中小企業を成長させることだ。そのためには資金繰りの改善が必要だと考えた。下請け企業では製品の納入後、実際に売掛金が入るまで日数がかかるケースも多い。これでは大きなビジネスチャンスを取りこぼしてしまう。融資も金融機関は過去3期分の決算書で審査するが、中小企業には厳しい条件といえる。過去の実績ではなく、現在の企業力で判断して将来へつなげてあげることが金融の本道。大企業向けに比べて不利な金利を低くすることによる金融市場の公平性も目指した」
--サービスの仕組みや特徴は
「メガバンクが手掛けるサービスは、手形を廃止して印紙代や事務コストを減らすことが主眼であり、大企業と金融機関にメリットがある。われわれのスキームは、当社出資の特別目的会社に売掛金を電子記録債権として譲渡してもらうことで、下請け企業は支払期日前に現金化できるため資金繰りが改善する。また、発注企業の信用力で融資を受けられるため低金利で資金を調達できる。発注企業も事務コストが減ることに加え、支払期日前に電子債権を買い取れば支払額を減らせる」
--反響は
「発注元の建設会社や機械メーカー、商社など5社から申し込みいただき、うち1社で開始している。導入を検討中の企業も上場会社をはじめ約30社ある」
--新たな事業プランは
「『PO(Purchase Order)ファイナンス』を準備している。発注を電子記録債権にすることで、受注段階から融資を受けられるサービスだ。下請け企業は大きな仕事を取りにいくことができ、会社の成長につなげられる」
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【プロフィル】小倉隆志
おぐら・たかし 一橋大社会学部卒。野村証券、エフエム東京、CSK-ISを経て2009年、前身の日本電子記録債権研究所を設立。16年、全額出資子会社Densaiサービスがベンチャー企業で初めて国から電子債権記録機関の指定を受けた。東京都出身。
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