ボタンもスティックも使わず操作、VRで仮想体験 今までにないゲーム機がアミューズメント施設に続々登場
VR(仮想現実)で作られた世界で遊ぶ。手のひらを動かして技を出す。アミューズメント施設などで楽しむ業務用ゲーム機が、最先端のテクノロジーによって変わろうとしている。一方で、懐かしいゲームタイトルを蘇らせたゲーム機や景品なども登場。家庭やスマートフォンで楽しむゲームとは違った体験を与えることで、プレーヤーをゲームセンターへと引き寄せる。
ハドソンが1985年にファミコン向けゲームソフトとして送り出した「ボンバーマン」。30年以上が経つこのゲームの楽しさを取り入れ、名前も「ボンバーガール」とした業務用ゲーム機がコナミアミューズメント(愛知県一宮市)からリリースされる。2月に開催されたジャパンアミューズメントエキスポ(JAEPO)2017のコナミブースには、手に爆弾のぬいぐるみを抱えたボンバーガールがお出迎えをして、懐かしさの上に新しさが乗ったゲーム性で来場者を誘っていた。
こちらは20周年。タイトー(東京都新宿区)では1997年から稼働を始め、電車運転シミュレーションゲームの代名詞にもなったゲーム機「電車でGO!!」を大型の筐体で投入。運転室を再現した横長のボックスに入って、3面の大型ディスプレイを見ながら操作する。ソフトもグラフィックがリアルになっていて、VRに負けない臨場感を得られそうだ。
没入感ならVRはやはり凄い。体験すれば誰もがその場所に行ったような気分になれる。そのVRをアミューズメント施設に持ち込もうとしているのがコーエーテクモウェーブ(東京都千代田区)だ。ソニー・インタラクティブエンタテインメントが開発したVRヘッドマウントディスプレーのプレイステーションVRを筐体の中に置き、アミューズメント施設で手軽にVRゲームを楽しめるようにした「VRセンス」を開発した。
幅1メートル、長さ2メートルほどの筐体の中に設置された可動するシートに座り、前方のモニターに表示されるガイドに従って準備を整え、VRヘッドマウントディスプレーを装着する。何種類かあるゲームから希望のタイトルを選びプレーを始めると、展開に合わせて椅子が動いたり、風が吹いたり、香りが漂ったり、ミストが出たりといったさまざまなギミックが繰り出されて、プレーヤーをゲーム世界にいる気分にさせる。ホラーゲームの「ホラーSENSE ~だるまさんがころんだ~」(仮)、ジョッキーレースゲーム「ジーワンジョッキー SENSE」(仮)、「真・三國無双」などが楽しめる見通しだ。
バンダイナムコエンターテインメント(東京都港区)でも、昨年10月まで東京・お台場で運営していた「VR ZONE Project I Can」に置いてあった各種のVRアクティビティをJAEPO2017に持ち込み、楽しさをアピールしていた。迫る怪物に怯えながら廃墟の中を進んでいく「脱出病棟Ω」などは、愛知県長久手市に昨年12月オープンしたナムコ(東京都港区)のアミューズメント施設に導入され、休日には数時間待ちとなる人気施設となっている。8月には新宿の歌舞伎町にVRアクティビティを多数導入する大型施設「VR ZONE shinjuku」をオープン予定。日本でのVR普及を一気に推し進めそうだ。
中国の中山市世宇動漫科技がJAEPO2017に持ち込んでいたのが「OMNI ARENA」というシステム。VRヘッドマウントディスプレーを装着し、手に銃型のコントローラを持って仮想空間で撃ち合うところまではよくあるVR。そこから台の上に乗り、腰の周りを輪のようなもので囲った上で歩く動きをすると、足裏がすべって体は前へは進んでいかず、それでいてバーチャル空間では歩いているような感覚を得られる。
右手に秘められた謎の力を使って技を繰り出す、まるでファンタジー小説の主人公になった気分を味わえるのが、バイキング(東京都新宿区)の「マジシャンズデッド」だ。グリップコントローラーでキャラクターを移動させ、何も持っていない手のひらを筐体に据え付けられたセンサーの上にかざして指を曲げたり、前後左右に振ったりすることでキャラクターを操作し、技を発動させて敵と戦う。今までに無い操作感が話題になっている。
景品では、1986年の登場から30周年を迎えたバンダイナムコエンターテインメントの野球ゲーム「ファミリースタジアム(ファミスタ)」が、ゲームセンターを運営するナムコ、菓子メーカーのカルビー(東京都千代田区)とコラボレーション。「ファミスタ」のパッケージで「ファミスタ」に登場するキャラクターのカードが付いた「ファミリースタジアムポテトチップス うすしお味」として、2月24日から全国約200店舗の直営ゲームセンターで提供されている。
ナムコとカルビーは、これまでにコーラ味や冷やし中華味のポテトチップスを作り、ナムコのアミューズメント施設でクレーンゲームなどの景品として提供してきた。第3弾ではゲームタイトルの「ファミスタ」とコラボ。袋のデザインは昔懐かしい「ファミスタ」のゲーム画面風で、昔遊んだ記憶を刺激する。「ファミスタ」に登場するナムコスターズ7種類が描かれたカードや、2016年のプロ野球を制して日本一となった北海道日本ハムファイターズの選手たちが、「ファミスタ」風のドット絵で描かれたコラボレーションカードがおまけについてくるのも、ファンには嬉しいところだ。
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