バイオベンチャーのテラ、がん治験薬製造施設 22年の薬事承認申請へ第一歩

 
慶應義塾大学に設置されているロボットを使った細胞培養装置。ライフイノベーションセンターにも同様の装置が置かれている(慶應義塾大学提供)

 バイオベンチャーのテラは、子会社のテラファーマ(東京都新宿区)が開発中の樹状細胞ワクチンの治験薬製造施設を、ライフイノベーションセンター(川崎市川崎区)に設置。和歌山県立医科大学はテラファーマの樹状細胞ワクチンを使い、膵臓(すいぞう)がんを対象にした臨床試験(治験)を今月中にも始める。目標とする2022年の薬事承認申請に向けて、大きな一歩を踏み出した。

 同センターの治験薬製造施設では、1カ月当たり185人分の樹状細胞ワクチンを製造する。ロボットを多用して自動化や省力化を進めた。手作業が中心だった方法よりも製造効率が3倍以上になり、製造コストの削減が図れるという。

 樹状細胞はがん細胞を攻撃するリンパ球に、がん細胞の存在を知らせる役目を持つ。患者の血液から樹状細胞のもととなる単球を取り出し、細胞培養施設で樹状細胞に育てる。

 テラが開発した樹状細胞ワクチン療法は、同細胞を体内に投与して増やし、免疫細胞の活動を活性化させ、がん細胞の活動を押さえる。

 治療費が全額自己負担となる自由診療にもかかわらず、1万人以上が受診している。

 ライフイノベーションセンターは、神奈川県が昨年開設した再生医療の産業化拠点施設で、富士フイルム子会社のセルラー・ダイナミクス・インターナショナル・ジャパン(東京都港区)やメトセラ(山形県鶴岡市)などのバイオベンチャー、ロボットベンチャーのサイバーダインなどが進出している。