味の素 世界食品企業トップ10入りに設備投資

トップは語る

 □味の素社長・西井孝明さん(57)

 --個人消費が低迷している

 「消費の低迷や節約志向などは今に始まったことではない。すでに生産年齢人口は減り始めており、今後も高齢化が加速するなど課題は大きい。日本発の食品会社として国内で安定的に稼ぎ続けるためには、効率化と高付加価値化を進めるしかない。生産量が減っても、その分、(商品やサービスの)価値を高めて、売上高が減らないようにする」

 --2020年に世界の食品企業でトップ10入りを目指している

 「当社は(柱である)食品とアミノ酸でユニークな企業だ。その中で価値を創造し、持続的な成長を実現するためには1500億円規模の利益が必要だと考える。その規模というのが、グローバル食品企業でのトップ10クラスだ。成長投資として17年度からの3年間で約2300億円の設備投資を予定しているが、利益が小さければ再投資も難しい」

 --労働時間の短縮など、働き方改革を進めている

 「従業員の労働時間を2020年度に(15年度実績の年間約1950時間から)1800時間にする目標を掲げていたが、これを2年前倒ししたい。(パソコンや情報システムといった)インフラ投資も実施し、4月からは在宅勤務制度を拡大して導入する。管理職は週に1度の在宅勤務を奨励するなど、さらなる労働時間の短縮につなげる」

 --女性の活用も積極的だ

 「グループ全体の女性管理職の割合を20年度までに20%(15年度実績は16%)に高めたい。とくに日本は7%と低い。職場に多様性がなければイノベーションは生まれない。多様性とは国籍や性別だけではなく、出産や育児を経験した女性も含まれる。女性の活躍は食品会社にとって重要だ」

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【プロフィル】西井孝明

 にしい・たかあき 同志社大文卒。1982年味の素。執行役員、常務執行役員などを経て2015年6月から現職。奈良県出身。